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広報誌 ネット&ライン No.83 1999 冬号
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モバイルコンピューティング

今日的な状況

活用技術

活用例と課題



今日的な状況

財団法人岐阜県市町村行政情報センターシステム企画開発課

  最近、「モバイルコンピューティング」という言葉をよく聞くようになってきました。
モバイルコンピューティングとは、コンピュータを携帯してオフィスの外でコンピュータを利用することを言います。従来は、主にビジネスマンが外出先で顧客情報やスケジュールの管理、プレゼンテーション、受発注資料、業務記録等の作成、データの入出力・照会などに利用していました。最近では、ノートパソコン、携帯型情報機器を用いて、携帯電話網、PHS(Personal Handyphone System)網、電話回線等の通信回線に接続し、電子メールの送受信、インターネットホームページの閲覧、パソコン通信サービスへのアクセス等にも利用されるなど、モバイルコンピューティングもネットワーク化されてきました。

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  近年になってモバイルコンピューティングが注目されているのは、機器の携帯化(小型・軽量化)及び通信の無線化・高速化が急速に進んだことが主な理由です。このことにより、「いつでも」「どこでも」コンピュータを有効に活用する環境が整ってきました。
  モバイルコンピューティングに利用される機器については、ノートパソコンは一層の小型・軽量化を果たし、以前に比べると携帯が容易となってきています。また、PDA(Personal Digital Assistants)を始めとした携帯型情報機器は単なる電子手帳から機能の強化を果たすとともに、新たにOSにWindows CE
(注)を採用しパソコンとの連携を強化した携帯型情報機器も発売されています。さらに、ノートパソコンや携帯型情報機器と大きく異なる概念のモバイルNC(Network Computer)の仕様が発表され、実用化に向けた取組がされています。
  次にモバイルコンピューティングで利用される通信回線ですが、特に携帯電話やPHS等移動体通信の普及はめざましく、確実に住民の生活に定着してきています。この移動体通信は通話だけのインフラではなくなり、いつでもどこでもネットワークに接続できる「モバイルコンピューティング」のインフラとして注目されています。また、従来から課題となっていた移動体通信の通信速度も近年では改善されてきており、モバイルコンピューティングに向けた環境が一層整ってきています。

注:Windows CE 〜 米国マイクロソフト社が携帯端末や家電製品向けに開発したOS

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活用技術

財団法人岐阜県市町村行政情報センターシステム研究室

 
   モバイルコンピューティングの技術
  近年モバイルコンピューティングが可能となってきた背景には、@携帯情報端末の高機能、高性能、小型軽量化が進んだこと(コンピュータ機能の携帯化)、Aディジタル携帯電話やPHSに代表されるディジタル移動無線通信技術の発展による社会的なインフラが整備されてきたこと(通信機能のワイヤレス化)、また、B庁内情報システムのLAN・WAN環境への対応が進んでおり、組織内での情報基盤が整備されつつあること(情報システムの広域化)が挙げられます

 

   コンピュータ機能の携帯化

  モバイルコンピューティングに用いる情報関連機器は、従来からポケベル(ページャ)、電子手帳、ハンディーターミナルなど特定機能に特化したものが用いられていました。最近ではパーソナルコンピュータの性能が向上し、重量1kg以下という軽量化のほか、インターネットへの接続やディジタルカメラなど周辺装置との接続が可能となったこと、庁舎内機器と互換性を持つワープロ・表計算等のOAソフトの掲載などにより、携帯パソコンとしての業務利用分野が大きく広がってきています。

製品例

利用分野

PIC(Personal Intelligent Communication)

電話帳機能を持った携帯電話、記憶能力ポケベル(ページャ)

コミュニケーションツールとしての機能
連絡、呼出し

PDA(Personal Digital Assistants)

電子手帳

スケジュール管理、電話帳、メモ、電卓
記録、計算

POT(Portable Terminal)

ハンディーターミナル

水道、電力、ガス等の検針入力端末、データ入力

パーソナルコンピュータ

携帯型パソコン、ペン入力OS

インターネットでの情報検索、電子メール、データ入力、業務処理、印刷

 

   通信機能のワイヤレス化

  パーソナルコンピュータと携帯電話又はPHSを組み合わせることにより、携帯電話では9600bps、PHSのPIAFS(PHS Internet Access Forum Standard)対応機器では32Kbpsの通信が可能です。このため、携帯パソコンでも音声・動画など高速大容量の通信を要しない範囲でのインターネット利用が実用の範囲内となってきています。ディジタル移動無線通信技術の活用により、移動中の現場からインターネットの電子メール機能を用いて静止画情報など即時性の高い有用な情報を後方支援部門に通知したり、出先で必要となった情報検索を庁舎内データベースに依頼し、検索結果を携帯パソコンで表示することが可能となります。

 

   情報システムの広域化

  モバイルコンピュータで広域的に利用可能な業務アプリケーションを構築するためには、標準化された文書交換方式とデータ通信を効果的に利用するための技術が必要となります。
  HTML(HyperText Mark-up Language)は、インターネットで一般的に用いられている言語で、文字だけでなく、画像や音声など各種のデータを扱うことができます。最近のワープロソフトや表計算ソフトは、作成した資料をHTML文書に変換する機能を持っており、作成した資料をインターネットサーバに登録するだけで、世界中のどこからでも情報を検索し表示することが可能となります。また、文字表示の拡大縮小を行うスケーラブルフォントの技術を活用して小型化されたパソコンでも適度な画面の見やすさを保つことができます。
  モバイルコンピュータのデータ通信を効果的に利用して高度なアプリケーションを開発する技術としては、HTMLの機能を補うために開発されたJavaが有名です。Javaは、ハードウェアに依存しないコンピュータ言語で、必要なソフトウェアをインターネットを通じて動的にコンピュータに取り込んで実行することができるため、コンピュータにあらかじめソフトウェアを設定しておく必要がないというメリットがあります。

 

   モバイルコンピューティングの未来

  モバイルコンピューティングが効果的なシステムとして機能するためには、より高速で世界中どこでも使える移動体通信の実現が求められています。次世代移動通信システム(IMT-2000 International Mobile Telecommunications-2000)は、一つの端末が世界中どこでも使え、有線電話に近い品質(データのビットエラー10-6)を実現し、マルチメディアサービスを提供できるようにする(最大2Mbpsの伝送速度)もので、現在ITU(International Telecommunication Union:国際電気通信連合)で標準化作業が進められており、西暦2000年頃のサービス開始が予定されています。



活用例と課題

                     財団法人岐阜県市町村行政情報センター企画開発課

   活用例

  モバイルコンピューティングの実現により、情報が発生した場所で即時処理が可能となります。
以下に地方公共団体における活用例を御紹介します。

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   モバイルコンピューティング実現への課題
  モバイルコンピューティングを有効に活用するには、いくつかの課題があります。第一にハード的な要素としては、機器の携帯性が劣ること、バッテリーの稼働時間が短いことです。また、導入、運用コストが高く、企業で統一して導入する際にもコストの高さは課題となっています。利用環境としてはモバイル機器と接続できる公衆電話が少ないこと、移動体通信の回線の状態が不安定なことが課題となっています。以上の課題については、技術革新により順次改善されてきています。
  また、モバイルコンピューティング環境を活用し、既存の業務システムと接続するシステムの構築を行う場合には、外出先からのリモートアクセスの機会が増えることとなり、セキュリティの確保が大きな課題となっています。このセキュリティの確保の方法としては、ユーザ認証、暗号技術、ファイアウォール等があり、セキュリティーを高めるため、二重、三重の対策を講じる必要があります。