古来一国の発展の鍵は、地の利、天の時、人の和によるといわれるが、国民経済の約1割を占める地方同士競争の時代に入った今日の都市経営もまた同様である。
地の利、本市は日本の中央部岐阜県の南端にあり、愛知県との接点に位置する。市域の北部に丘陵地帯、南部に木曽川が流れる面積(約80ku)濃尾平野の起点である。
歴史と文化の大河木曽川を共有する犬山市等愛知県北部都市群との交流も古来盛んである。共に生活圏を同じくしながら、大河ひとつ渡った地域に異文化を感じている。
市の形態は東西に長く、その外周は美しい田園地帯に囲まれ、市域を横断する国道21号沿いに分厚い市街地を形成し、自然環境と産業、市街地が共存する理想的な都市の形態にある。
交通網も整備され、県内最大の産業道路である国道21号と、日本海と大平洋をつなぐ東海北陸自動車道の結節都市である。
市内の同自動車道岐阜各務原インターは、県都地域全体の全国への玄関になりつつあり、東名、名神、中央道へつなぐ。
また、県南部のハイテク地帯を結ぶ高規格自動車専用道、岐阜南部横断ハイウエイ計画が、今、進行中である。鉄道網も2本、名鉄が名古屋まで25分、岐阜へ15分、JRが人気の特急ワイドビューで岐阜と飛騨間を結んでいる。
当市は工業都市の性格を持つ
工業出荷高は、県内第2位で、川崎重工の航空機工場、愛知県三菱重工などの関連航空機部品企業群、自動車関連工場など輸送用車輌機器あるいは金属加工企業が群立している。
また、市北部に昨秋オープンした研究所専用産業団地「VRテクノジャパン」は、21世紀の革新技術バーチャルリアリティー(仮想現実感技術)の研究開発、応用、訓練を中心とするVRテクノセンターに、県立試験所群の企業部門等を統合する県立科学技術振興センターを併設するグレードの高い頭脳立地である。
そのVR研究開発技術を既存産業につなぐことによって、その高付加価値を促進し、また、新産業やベンチャービジネスを生み出すインキュベーター機能も期待されている。
本市に立地するVRテクノジャパンは、西(大垣市)に立地するコンピュータソフト専用産業団地ソフトピアジャパン、及び東(東濃)の研究学園都市の基礎研究と結び、研究開発立県の野心的な目玉であり、それらは当市の工業に「高品質モノづくり世界一」の息吹を与えつつある。
また当市には、航空自衛隊岐阜基地があり、それは日本で2番目に古い飛行場である。市立航空宇宙博物館は、松本零士氏を名誉館長に、そのコレクションと展示スタイルは文字通り日本一である。
当市は市制施行以来35年である
名古屋や県都岐阜への地の利と交通の良さで人口が倍以上に増え、現在人口は13万4千人である。大都市のベッドタウンともなった。
市の財政規模は、平成11年度当初で、一般、特別、企業会計合わせて546億円である。
本市の現在の総合計画は、平成2年度バブル期に策定されたものである。社会経済が華やかで、市財政も好調で税収も順調に伸びていた時代である。
しかしその後、バブル経済が崩壊、社会経済情勢は劇的に変化し、都市自治体をとりまく環境は一変している。
平成に入って、人口の伸びは低下し、今日止まった。財政その他、総合計画の見通しと現実は大きくかい離してきている。今日、ソフトの施策は継続中も含め計画の76%が進行中であるが、ハード事業の完成見込み率は平成12年までで5.9%で、未着手の事業も112件ある。
一昨年市長就任以来、現総合計画と現実とのかい離を考え、新しい総合計画を策定することとした。
新しい計画の期間は、超減速経済下における10年計画で、前の3つと計画の前提を異にする。よって、第4次とせず、新総合計画とした。
本計画は、西暦2000年出発、目標年次を2010年に置き、旗印は「元気な各務原市へ」である。
天の時を知り、10の都市戦略を掲げる。
*高品質ものづくり世界一
*おしゃれで美しい街
*老後も安心
*便利な街
*地球環境共生
*各務原ボランティア・各務原ホスピタリティ
*教育日本一
*世界と交流
*グレーター各務原
*ディスカバー各務原―――である。
当市は市政の歴史が浅い。その後の流入人口も多く、35年間で県内第2位の工業都市として、ベッドタウンとして変化した。そのために、母都市としてのアイデンティティーに欠ける。
人の和、郷土愛、市の個性は、郷土の歴史再認識、大自然の良さ、そして市政ポリシーの3つから生まれる。私はそれらを総称して、ディスカバー各務原と呼んでいる。
この各務野大地は、世界4大文明のあけぼのの頃から人々の生活の連続があり、古代史、律令国家、戦国時代、近代日本と続く歴史の宝庫である。それらは炉畑(ろばた)遺跡や壬申(じんしん)の乱と村国男依(むらくにのおより)、川並衆の活躍と木下藤吉郎離陸の歴史などに見ることができる。
また、大河木曽川と丘陵地帯は、野鳥の宝庫であり、しでこぶしやみかわばいけい草などの植生の大地である。新境川は日本一の桜の密集名所であり、大安寺川はほたるの飛びかう都市河川である。わが市域の木曽河川敷には近く国営河川公園「スポーツビレッジ」が建設される夢多き都市である。