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広報誌 ネット&ライン No.101 2003 夏号
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リフレッシュコーナー

職場における健康管理「第14回」
岐阜大学医学部産業衛生学助教授 井奈波 良一

快適な睡眠のための生活習慣
 快適な睡眠は健康に欠かせない。また、生活の意欲にも影響する。日本人の5人に1人は、「夜なかなか寝付けない」、「朝早く目が覚めてしまう」など睡眠のトラブルを自覚しているといわれている。そこで、今回は快適な睡眠のための生活習慣について考えてみることにする。
 アメリカでは、睡眠障害は病気と認識され、それによる経済損失や医療費などが5兆円に上がるといわれている。わが国でも、2003年2月に起こった睡眠時無呼吸症候群による山陽新幹線の居眠り事件をきっかけに睡眠の質の在り方の問題がにわかに浮上してきた。睡眠不足は当人ばかりか、他人の命まで脅かすことになる。
 国立精神・神経センター精神保健研究所の内山真部長によれば、眠れない時の対処法を国際間で比較すると、日本人はアルコールに一番頼り、逆に医師に一番相談しないという特徴がある。睡眠のためにアルコールを使う場合の大きな欠点は、睡眠薬以上に慣れを生じやすいことである。少量のアルコールで眠れないときには飲酒量を増やすのではなく、医師に相談して、適切な睡眠剤を服用するほうが安全である。また、健康飲料のアルコールに注意したい。健康飲料の中にはかなり高濃度のアルコールを含むものがあるので、多く飲用しないことが大切である。
 これまで成人の睡眠時間の基準として8時間睡眠が信じられてきたが、最近の調査で6〜7時間の睡眠が取れていれば、多くの人は睡眠が充足していると感じていることが分かった。ただし、6時間を割ると多くの人が睡眠不足を感じる。日中の眠気がひどかったり、平日と比べ週末に3時間以上長く眠らないといられないようなら、睡眠不足と判断する。必要以上長時間床に入って過ごすと、かえって睡眠が浅くなり、熟眠感が損なわれる。
 個人の睡眠時間に影響を与える要因として年齢、生活様式、季節、素因(体質)などが挙げられる。年齢により睡眠時間は大きな影響を受ける。10代の始めまでは、比較的長い睡眠を必要とするが、10代後半から成人になって一定になり、50代まではほとんど睡眠時間はかわらない。60代以降は、再び睡眠時間が長くなる傾向を示すが、眠りは高齢者ほど浅くなる。
 
快適な睡眠のための7箇条
 まとめとして厚生労働省による「快適な睡眠のための7箇条」(2003年)を紹介する。

1 快適な睡眠でいきいき健康生活
   快適な睡眠の実現のためには、定期的な運動習慣が重要。高齢者の場合、夕方の軽い散歩などが効果的である。
 「空腹」も「満腹」も快適な睡眠を妨げる。夜食を取る場合はごく軽く取る。
2 睡眠は人それぞれ、日中元気はつらつが快適な睡眠のバロメーター
   快適な睡眠を確保するための睡眠パターンや睡眠時間には個人差がある。8時間睡眠にこだわらない。「日中しっかり目覚めて過ごせているか」が、快適な睡眠が確保できているかどうかの一つの指標となる。
3 快適な睡眠は、自ら創り出す
   夕食後のカフェイン摂取(コーヒー、コーラ、茶、スタミナドリンク)は寝つきを悪くする。また、「睡眠薬代わりの寝酒」も睡眠の質を悪くする。睡眠薬とアルコールを一緒に飲まない。
 タバコに含まれるニコチンは夜間の睡眠に対してカフェインと同様の作用があることが分かっている。夜間の大量喫煙は鎮静作用でなく覚醒作用をもたらすため就床前1時間の喫煙は避ける。
 自分にあった寝具を使うなど、寝るための環境を整えることを推奨する。
4 眠る前に自分なりのリラックス法、眠ろうとする意気込みが頭をさえさせる
   音楽鑑賞、ストレッチなど、自分なりの方法で心身をリラックスさせる。ぬるめの湯への入浴は寝つきを良くする。
 眠ろうとする意気込みは丹生民へ逆効果を及ぼす。
5 目が覚めたら光を取り入れて、体内時計をスイッチオン
   目が覚めたら適度な日光を浴びるようにすることや早起きをすることは、快適な睡眠へつながる。休日に遅くまで寝床で過ごすと、翌朝がつらくなる。
6 午後の眠気をやり過ごす
   人体のリズムとして、午後2時くらいに眠気が生じることが明らかになっている。しかし、長い昼寝は夜の睡眠に悪影響を及ぼすことが多いため、昼寝をするなら、午後3時前の20〜30分に抑える。
7 睡眠障害は、専門家に相談
   熟眠感がない、早朝に目覚めてしまうなどの睡眠障害は、一人で悩まず専門家に相談する。睡眠中の激しいいびきは、睡眠時無呼吸症候群などの可能性があり、早めの相談を推奨する。