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広報誌 ネット&ライン No.108 2005 春号
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特集・電子調達・入札システムの課題
大阪地域市町村共同利用電子入札システムの取組
 大阪電子自治体推進協議会主事 川添 浩司

大阪電子自治体推進協議会の取組
 大阪電子自治体推進協議会(以下、「協議会」)は、電子自治体の実現に向けて連携・協働して取り組むことを目的に、14年4月に大阪府と府内全市町村の参加により設立されました。
 協議会では、共同利用電子入札システムのほか、スポーツ施設情報システム(愛称:オーパスシステム)の共同運営(大阪府及び14市1町が参加)やLGWAN府域ネットワークの共同整備及び共同運用(全市町村が参加)などに取り組んでいます。

システム共同開発に至るまでの経緯
 協議会発足当時、全国的に見ても電子入札導入に向けた取組は緒についたばかりでしたが、以下のことから14年度に電子入札システムの共同開発・運用に向けての調査研究を行うこととしました。
市町村のニーズが高く、電子自治体構築のための重要なシステムの一つであること
どの市町村でも同等の事務を行っており、共同開発・運用を行うことで、安価で効率性の高いシステムが構築できそうなこと
 まず、既存システムの基礎調査を行い、この成果を基に共同開発事業の企画を作成し、7市(豊中市、吹田市、高槻市、枚方市、八尾市、寝屋川市及び羽曳野市)の参加を得て「電子入札システム事業準備会議」を設置しました。(14年11月)

システムの開発
 15年4月には、事業準備会議を「電子入札システム事業部会」に改組し、前述の7市で14年度の調査研究事業の成果を基に提案募集仕様書を作成し、開発等業務委託業者の公募を行いました。15年7月末には業者を決定し、8月から開発に着手しました。

システムの概要
 この「共同利用電子入札システム」は、「信頼できる『電子入札箱』の実現」を開発コンセプトに掲げ、発注者と入札参加者の間で入札情報のやりとりを高い信頼性の下に実現すること、双方にとって操作しやすいシステムであることを目指しました。
 これを実現するため、本システムでは、(財)日本建設情報総合センター(JACIC)が中心となって開発したパッケージソフトウェアである「電子入札コアシステム(Ver.3.1)」を採用しました。
 「電子入札コアシステム」を採用した背景には、第一に、既に国の各省庁や大阪府などで多数の稼働実績がある信頼性の高いシステムであるということ、第二に、入札参加者が操作する画面のデザインや操作性、認証に用いるICカードを先行実施機関と合わせることができ、入札参加者にとって利便性が高いということがあります。
 さらに、コアシステムの複数市町村による共同運用や各市町村の業者管理システムなどの既存システムとの連携を円滑に実現するため「シェルシステム」の開発を行いました。シェルシステムは、市町村ごとに異なる入札の仕組みや事務フローを許容しつつ、システムを共同で利用できるようにするため、利用市町村別/発注部局別情報管理機能や機械審査機能、開札支援機能、情報公開機能などの機能を備えています。
 システム構成図にも示していますように、各市町村の職員はシェルシステムを介して「電子入札コアシステム」を操作することで自由度を高め、コアシステムの仕組みに依存しない市町村ごとの特色ある運用を可能にしています。
 なお、現時点で本システムが対象とする入札種別は、建設工事のみとなっています。

システムの運用
 本システムは、16年8月の実証実験を経て、9月よりシステムの本稼動を開始し、準備が整った市より順次電子入札を実施しています。
 システムホームページ(※)は共用しますが、入札参加資格申請、ICカードの登録などについては市町村ごとの運用となっています。また、システムの維持管理及び参加市町村からの技術的な問い合わせへの対応は、システム構築業者が引き続き実施しています。
(※)http://www.nyusatsu.elga.jp/

運用の状況
 16年9月の本運用開始後の実施件数は、本案件が17件、模擬案件が29件の計46件となっています。
 16年度については、運用開始時期が既に建設工事入札が多く実施される時期を過ぎていたこと、各市が既に電子入札経験があると想定される業者が入札参加対象となる大規模案件にターゲットを絞ったこともあり、本案件の実施件数は先の件数程度となりました。17年度は、各市とも電子入札対象案件の拡大を行うことなどから、実施件数の大幅な増加が見込まれます。
 システムの運用については、電子入札コアシステム、シェルシステムの双方とも大きなトラブルもなく順調に稼動しており、電子入札システムに最も求められる要件である信頼性は確保できたと考えています。また、実際の運用を通じて機能の追加・改善の要望が出てきた点については、参加7市の実務担当者、システム維持管理業者、協議会の3者で仕様を決定し、追加開発を実施しました。
 実務面においては、当初は案件設定作業等に関して戸惑うこともありましたが、現在ではシステム操作にもかなり習熟してきている状況です。また、開札業務では、約30社の応札があった案件でも瞬時に開札作業を終えることができるなど、電子入札ならではの利点を大いに発揮しています。

コールセンターの設置・運営
 入札参加者からの問い合わせに対応する「コールセンター」については、参加市町村で共用していますが、運用において最も難しいと感じたのはこのコールセンターの運営です。
 16年度は、システム運用開始年度ということもあり、電子入札システムのコールセンターに求められる設置・運営のあり方を調査分析しつつ運営することとし、システム維持管理業務の一環としてシステム維持管理業者に委託する形をとりました。コールセンター窓口の設置場所は、システム運用当初はSEによるサポートが必要不可欠と判断し、システム維持管理業者の社内とし、オペレータ2名が常駐する運営形態としました。
 このような形態で運営を開始したコールセンターですが、調査分析により、当電子入札システムの運用において、コールセンターに期待できる機能とその限界がおおむね明らかになってきました。
【本コールセンターでの調査分析結果】
コールセンターで一次完結するコール内容はPC設定の一部に限られる(実績60%程度)
  • 案件や参加資格などに関する問い合わせは、各市町村に取次ぎ
  • PC設定でも、受注者のPC環境を詳しく聴取するものはシステム維持管理業者に取次ぎ
  • ICカードの設定等に関する問い合わせは、認証局に取次ぎ
入札参加者から各市町村へ直接の問い合わせが発生することは避けられない
コール数の予測がつきにくい
  • 利用者登録の受付開始時期、入札案件の公開時期等にコールが集中し、それ以外の時期はコールがほとんどない日も発生する。
  • PC操作に不慣れな業者の対応に相当の時間を要する。
 以上のような分析結果を踏まえ、当電子入札システムのコールセンターとしては、当初想定ほどの規模は必要なく、当面はシステム全般のサポートを行うシステム維持管理業者との連携を前提とした一次窓口程度というレベルで十分と考え、17年度よりコールセンター窓口については、専任のオペレータを設置するのではなく、専門業者の統合センターで他のコール業務と兼任する形で対応するように運用体制を改めました。

今後の取組
 17年度に予定しているシステム面での主な取組としては、入札参加資格申請の電子申請対応と測量・建設コンサルタント業務入札への対応です。前者については、17年4月稼動の「共同利用電子申請受付システム」の機能を利用して実現することになります。
 また、事業への参加市町村が増加することで、入札参加者の利便性向上や運用コストの縮減等の大きな効果が期待できますので、引き続き参加市町村の拡大を図っていきたいと考えています。