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広報誌 ネット&ライン No.109 2005 夏号
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特集・電子申請・届出システムの課題
なぜ利用されない電子申請、なぜ進まない電子自治体
 NPO市民と電子自治体ネットワーク 代表理事 諸橋 昭夫

1 なぜ利用されない電子政府/電子申請システム
 13年1月「IT基本法」が施行された。10条において電子政府の実現、11条にて電子自治体の実現が謳われた。そして12条において“一つの”電子政府・電子自治体構築が掲げられた。
 電子政府、特に電子申請・届出システムの構築は、当初の計画どおり進められた観があるが果たしてそうなのであろうか?
 国の手続きの96%強が電子化されたこと、予定どおり平成15年4月からサービスが開始されたことなどは評価に値する。しかし、その利用率が0.7%という現実をどう評価するかである。“何かが違う!”と感ずるのは筆者だけではないだろう。

2 電子政府/電子申請システムの課題
 電子政府/電子申請システムの課題を列挙すると以下のような点が浮かび上がる。
(1) 大半が申請・届出書の主たる文書(鏡文書)のみの部分的な電子化で申請手続きが完結しない。(従たる文書(添付文書)が紙文書のままの手続きでは、電子化は利用されない現実)
(2) 既存制度のままの電子化(ワンストップサービスという利用者へインセンティブが働かない現実)
(3) 省庁別のシステム開発のため、省庁横断的な運用が不可能
(4) 国・県・市町村という行政縦断的な“一つの”運用が不可能(国税と地方税の法人関連電子申告システムの一元化が果たされていない、など)
(5) Java実行環境の違いは、利用者の利便性を大きく阻害する要因となっている。

3 電子政府/電子申請システムの課題から得られる対策を中心に!
 
電子自治体/電子申請・届出システム)のあるべき姿とは?
 利用者(国民及び企業)におけるメリット(インセンティブ)とは、行政手続の簡素化、ワンストップ化、業務コストの低減などが求められる。さらには、電子申請時の手数料のインセンティブ制度の導入などが期待される。結果としては、行政機関におけるメリット(行政BPR、業務コストの低減など)が実現できるかであろう。

4 電子自治体/電子申請・届出システムの4つのステージ
 『文書』というキーワードから、電子申請システムを考察してみたい。

電子自治体における文書とは
 文書管理上、文書を大きく分類すると、(1)紙文書と(2)電磁的文書(情報セキュリティ上の「情報資産」)に分類できる。さらに、電磁的文書は、(1)電子文書と(2)電子化文書(「e−文書法」上の電磁的文書)に分けることができる。

主たる文書(鏡文書)の電子化とは
 行政手続における主たる文書は「申請書・届出書」「申告書」などが想定される。
 これらの電子化は、「電子署名法(公的法人認証/公的個人認証基盤)」及び「電子署名に係る地方公共団体の認証業務に関する法律」そして、「行政手続きオンライン化法」により、多くの申請書などの電子化が可能となった。しかし、実際に運営されてはいない現実に直面する。理由の多くは、従たる文書(添付文書など)の電子化が進展していないのは法的に許可されていないことに起因している。

従たる文書の電子化とは
 従たる文書(申請又は申告時の主たる文書の添付書類など)は、(1)公文書と(2)私文書に分類される。公文書はさらに、(1)本人性(住民票、法人登記簿の写し)及び原本性(印鑑登録及び法人代表者印の写し)対応の公文書と(2)公的証明書に分けることができる。私文書はさらに、(1)自己作成の私文書と(2)他者作成の私文書に分けることができる。
 公文書の電子文書の現状は、一事例(国税における電子納税証明書)のみで、それ以外は、紙文書である(早急なる電子化が求められているのだが…)。さらには、他者作成の私文書も、紙文書を前提とされてきた。本年4月、「e−文書法」施行により“電子化文書”が可能となったところである。

行政手続きの電子化ステージとは

(1) 過去から現在に至る主たる行政手続き(申請)ステージ
主たる文書、従たる文書 ともに紙文書のステージ
(2) 第1ステージ
現在の電子政府/電子申請ステージ。表向きの電子化ステージで利活用率上がらず!
主たる文書:電子化
従たる文書:公文書/私文書ともに紙文書(公文書の取得は、対面/書面主義。役所で取得)
(3) 第2ステージ
第1ステージの変形。紙公文書のKIOSK発行で利用率向上! 水沢市、上伊那広域など全国に展開されつつある。
主たる文書:電子化
従たる文書:公文書/私文書ともに紙文書
      (公文書の取得は、非対面/書面主義。自宅(注1)/KIOSKで取得可能)
      (注)韓国の民願・発給システム
(4) 第3ステージ
行政手続きの電子化が急激に向上!
主たる文書:電子化
従たる文書:公文書の電子化(「電子交付サービス」)
      他者作成の私文書は紙文書
(5) 第4ステージ
行政手続きの電子化が定着する!
主たる文書:電子化
従たる文書:公文書の電子化(「電子交付サービス」)
      他者作成の私文書が電子化
      (「e−文書法」上の電子化文書)

参考 下記資料を御参照ください。
http://aispaml.hp.infoseek.co.jp/dennsisinnseitobunnsho.pdf

図 行政手続きの電子化ステージ
 電子自治体/電子申請システムの実現には、いくつかのプロセスを経由しないと定着しない。商取引の電子化という背景と密接な関係がある。地域住民・国民・企業のIT化進展と歩調を合わせた推進が必要である。急がず、慌てずそして確実に進めることが必要であろう。

5 市町村の電子申請システムを14都県の共同運営から見ると・・・やはり課題が残る!
 17年5月時点で、14都県において市町村の電子申請・届出システムが共同運営されている。その他つくば市、大阪府の豊中市・池田市・羽曳野市の共同電子申請システムなどが稼動している。
 利用者側から見た課題は、(1)Java実行環境の違いと(2)市民ニーズとアンマッチな電子申請という2点が顕在化している。
 岡山県、広島県そして豊中・池田・羽曳野市などには、(1)の課題はなく優しいシステムとなっている。茨城県、愛知県にも同様に優しさを感ずる。
 (2)の課題は、共通的な課題である。証明書取得のための申請に電子化の需要はない。利用者は、証明書を取得することを求めているのであり、申請の電子化を期待したのではないのである。早期に、第2又は第3ステージへの進化が求められるところである。