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広報誌 ネット&ライン No.111 2006 冬号
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地上デジタル放送を活用した住民への行政情報提供
岐阜県知事公室情報政策課

 はじめに
 15年12月に全国に先駆けて関東、関西、中京地域で開始された地上デジタル放送は、岐阜県内においても視聴可能エリアが拡がりつつあり、県域放送局もNHK岐阜放送局が16年11月、岐阜放送が17年4月にサービスを開始しています。
 地上デジタル放送では、従来のアナログ放送に比べて高画質・高音質であるといった特徴に加え、暮らしに役立つ便利な情報を入手できるデータ放送、携帯端末向け番組を放送する1セグ放送など、アナログ放送にはなかった新たなサービスを利用することができます。とりわけデータ放送は、天気予報やニュースのみならず、パソコンを利用しない高齢者をはじめとするすべての住民に行政情報・行政サービスを提供することのできる新たな手段として、全国の県・市町村を含めた地方自治体が大きな期待を寄せています。また、デジタルテレビはネットワーク回線に直接接続することができるため、インターネット端末(インターネットテレビ)として利用することも可能です。
 本稿では、地上デジタル放送(デジタルテレビ)を通じて住民に行政情報を提供するため、これまでに岐阜県をフィールドに行われた実証実験の概要や結果を紹介するとともに、今年度中の運用開始を目指して現在構築を進めているシステムの概要などについて紹介します。


 地上デジタル放送を活用した行政サービス提供実証実験
 岐阜県では、総務省の地上デジタル放送を活用した行政サービスの提供に関する実証実験が15,16年度の2か年にかけて実施されました。
 15年度の実証実験では、岐阜市を実験フィールドとして、約150世帯のモニタに対し、行政(岐阜市)からの広報・お知らせ、イベント情報に加え、公共施設案内・予約、新着図書案内・予約などの双方向行政サービスが提供されました。
さらに、16年度の実証実験では、実施エリアを複数市町村(岐阜市、各務原市)に拡大するとともに、県と市町村からのお知らせ、イベント・観光情報、医療機関情報、河川水位・避難所などの防災情報、積雪・路面情報など情報を充実して提供しました(図1参照)。
図1 地上デジタル放送を活用した行政サービス提供実証実験
▲図1 地上デジタル放送を活用した行政サービス提供実証実験(平成16年度総務省)〜画面例 : 防災情報(河川・水位情報)〜


 また、新たな試みとして公的個人認証を必要とする電子申請(住民票の写し、税務証明書の交付申請)を行っています。
 実証実験モニタに対するアンケート調査により、地上デジタル放送を通じて行政サービスの提供について、以下のような結果・評価を得ることができました(図2参照)。

行政情報入手の手段が、これまでの広報誌やハガキなどの紙媒体から地上デジタル放送(デジタルテレビ)へ変化していくこと
地上デジタル放送から入手する行政情報として、医療機関情報、イベント・観光情報、交通機関・渋滞情報、災害情報などに関する要望が多かったこと
地上デジタル放送を活用した行政サービスの提供について、継続を望む意見が約9割にのぼったこと
図2 地上デジタル放送活用行政サービス提供に対する期待
▲図2 地上デジタル放送活用行政サービス提供に対する期待〜実証実験モニタへのアンケート調査結果〜



 岐阜情報スーパーハイウェイ及びCATV網等を利用した行政サービス提供実証実験
 北部に山間地域を抱える岐阜県では、地上デジタル放送においても難視聴地域の解消に向けた対策が課題となっています。県では、既存のインフラをうまく活用して地上デジタル放送を難視聴地域へ配信することの技術的な検証を行うため、県独自の実証実験を16年度に実施しました。
 この実験では、受信エリア内(岐阜市)で受信した地上デジタル放送(全7チャンネル)を、県が整備した光ファイバー網「岐阜情報スーパーハイウェイ」で現在は受信エリア外となっている下呂市へ伝送しています(図3参照)。伝送にあたっては、受信エリアで受信した放送(UHF帯)をそのまま伝送する「同一周波数パススルー方式」と、UHF帯に対応していない共同受信施設が多数存在している状況を考慮し、各共同受信施設における改修等の負担をなるべく軽減できるよう、放送波をUHF帯からミッドバンド帯に変換してスーパーハイウェイで伝送する「周波数変換パススルー方式」を併せて採用していることが特徴です。この実験の結果、いずれの方式においても、地上デジタル放送が受信エリア外で視聴可能であることが確認できました。
(詳細は、情報政策課のページhttp://www.pref.gifu.lg.jp/contents/news/s111/s11120/を参照)
図3 岐阜情報スーパーハイウェイを活用した地上デジタル放送長距離伝送実験
▲図3 岐阜情報スーパーハイウェイを活用した地上デジタル放送長距離伝送実験 概要図



 行政情報提供基盤整備事業〜実サービスへの運用開始へ〜
 これらの実証実験で得られた成果を踏まえ、県では現在、実サービスとして地上デジタル放送(デジタルテレビ)を通じて住民に様々な行政情報を提供するための基盤となるシステムの構築を進めています(図4参照)。
図4 行政情報提供基盤整備事業
▲図4 行政情報提供基盤整備事業 概要図

事業名 : 岐阜県行政情報提供基盤整備事業(平成17年度6月補正予算)
実施期間: システム構築及びモニタ調査(平成17年9月〜平成18年3月)
運用保守(平成18年4月〜平成21年3月)
概  要: 地上デジタル放送(デジタルテレビ)を通じて、パソコンを使用しない高齢者を含めたすべての住民に対して、防災情報、お知らせ・イベント情報などの行政情報を提供する基盤システムを構築
データ放送などへの活用を想定した放送事業者への情報提供と住民へ直接の情報提供
提供情報: お知らせ
イベント・講座情報
防災情報(災害対策本部設置状況、避難勧告・指示状況、河川水位、水防警報、雨量など)

本システムの特徴は、以下のとおりです。

(1)提供データの共通化・標準化

 県内放送局はもとより、在名放送局など複数の放送事業者に情報を提供できるよう、提供データの共通化・標準化を図っています。なお、お知らせやイベント情報のデータは、万博関連の情報を共有するために在名放送局らが中心となって策定し、運用実績のある仕様に基づいています。

(2)県・市町村の情報を一括提供

 住民にとっては、県だけでなく、市町村の情報も重要であることから、県・市町村の情報を一括してサーバに登録し、放送事業者や直接住民に提供します。

(3)自治体内においても情報を共有・一元化

  同一の自治体においても、インターネットを通じてパソコン利用者に行政情報を提供するためのWebサーバや、防災関連の情報を収集・提供するサーバなど、情報の種類に応じて複数のシステムが運用されています。本システムでは、必要な情報を他のシステムから自動的に収集するようになっており、担当者は情報を一度入力するだけで、複数のシステム間で情報の共有・一元化を図っています。


 おわりに
 15年12月に始まり、23年7月の完全移行に向けて普及が進みつつある地上デジタル放送(デジタルテレビ)は、パソコンを使用しない高齢者を含めたすべての住民に対して、お知らせや医療機関情報、防災情報など住民にとって役立つ、便利な行政情報を提供する手段として、今後ますます重要な役割を担うことが予想されます。
 本県においても、現在構築中のシステムを基盤とし、住民ニーズを踏まえながら、更なる提供情報の充実を図っていく予定ですが、情報の提供にあたっては市町村からの情報が住民にとって身近なものであることから、様々な機会を通じて市町村からの積極的な情報提供やデータ入力をお願いしていく予定です。