| 広報誌 ネット&ライン>No.92 | 最新号 | バックナンバー | ||||||
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| 職場における健康管理 [第5回] |
| 岐阜大学医学部衛生学教室助教授 井奈波良一 |
| VDT作業者の健康管理 −その1− |
| VDT作業の内容は、基本的にはディスプレイ画面からデータを読み取り、キーやマウスを操作することである。第2回目(Net&Line No89)には、VDT作業とドライアイについて重点的に紹介した。今回は、VDT作業者の健康管理全般について述べることにする。 今から約20年ほど前、VDT作業と健康影響に関する我が国で最初の学会報告が行われた。その後、VDT作業による健康影響が社会問題化し、1985年に労働省から当時の最新の知見を集めた「VDT作業のための労働衛生上の指針」が公表された。 以来、我が国では今日までこの指針に沿ってVDT作業の労働衛生管理が行われている。ところが、この間の技術革新はめざましく、画面の大型化や高速化、小型軽量化と新しい入出力装置の登場などVDT機器をめぐる状況は大きく変化している。すなわち、ノート型のような小型のパソコンが普及する一方で、21インチなどの巨大なディスプレイが技術現場を中心に増加している。また、ディスプレイはCRT(ブラウン管)型が徐々に割合を減少させ、液晶型が主流となってきている。さらに、VDT機器があらゆる職場に配置されるようになった今日では、ネットワーク化された環境での作業が増えたり、テレ・ワークあるいはSOHOという従来の労働衛生の範ちゅうには収め難い形態のVDT作業が出現するようになってきている。 VDT作業の代表的な健康問題としては、目の疲労やドライアイ、首・肩・腕・手首や背中・腰などの筋骨格系のこりや痛み、いらいら・不眠やテクノストレスと呼ばれる精神・心理症状の3系統の症状である。 平成9年の中災防によるVDT作業の労働衛生管理状況に関する調査では、作業環境管理面については比較的対策の実施率が高いが、作業時間管理等の作業管理面や健康管理面及び労働衛生教育等については実施率が低いという結果が得られている。 【VDT作業の人間工学的問題】 VDT作業の人間工学的な問題は以下の5つにまとめられ、健康状態や作業能率がこれらの要因の組合せによって影響される。 (1)机や椅子など作業姿勢要因 (2)ディスプレイや照明など視環境要因 (3)温室度や騒音など作業環境要因 (4)職務設計や休憩など作業設計要因 (5)年齢や適正など個人的要因 VDT作業中は、画面やキーボード、原稿、資料など交互に見つめ、位置が固定されたパソコンによって作業姿勢が制約される。 【デスクトップ型パソコンとノート型パソコン】 デスクトップ型パソコンは、ディスプレイ、キーボードがそれぞれ独立しているので、使いやすい形で作業ができる。ここ数年で大きさが17インチが標準となり、21インチの大画面も増加している。これらは奥行きが長く、通常のオフィスの机では正面に収まらないため、斜めにおくことになり、眼からの距離も短くなりがちである。そのため、眼も疲れやすく、さらにねじれた格好になるため作業姿勢も不良となり、腰痛などを引き起こす。 ノート型パソコンは、本体、ディスプレイ、キーボードが一体化しており、液晶ディスプレイを用いている。また、省電力、省スペースで、携帯用にも便利である。しかし、作業姿勢が強く拘束され、前屈みで鶏が餌をつつくような姿勢になりやすく、後頸部のこり・痛み、眼に関する症状が出やすい。また、ノート型では、本体に附属するタッチパネルやトラックボールが採用されているが、デスクトップ型のように外付けでマウスを使用するほうが使い勝手のみならず上肢症状の予防のためにも有効である。 健康管理の観点からは、現在のところ「デスクトップ型で、なるべく大型の液晶モニターを設置する。」という選択が最も賢明とされている。以下、次回に続く。 |
| 参考文献 |
| 三澤哲夫: 労働態様の変容とVDT労働衛生管理の課題. 労働の科学 55(2): 4-9, 2000. 宮尾克、高柳泰世: 眼を大切に.安全衛生のひろば 41(10): 6- 16, 2000. |