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広報誌 ネット&ライン No.92 2001 春号
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スポットライト
地理情報システムの課題と対応について
財団法人岐阜県市町村行政情報センター情報企画室


市町村における地理情報システムの状況
 昭和62年頃から行政事務の効率化に向けて、電子化された地図のデータを属性データとともに市町村庁内で管理する地理情報システム(以下「GIS」という。)の導入が、県内の一部の市町村で始まりました。
 GISの導入は、行政事務の効率化のみならず住民サービスの向上に必要不可欠であり、空間データ(注)の整備や、GIS導入が各市町村において進んでいます。
注 空間データ:地理的位置に関する情報を持つデータをいう。

 国では、「国土空間データ基盤の整備及びGISの普及の促進に関する長期計画」に基づき、自治省(現総務省)で平成11年度に統合型GIS整備に向けた標準仕様の「共用空間データ基本仕様案」が作成されました。平成14年度には、データ維持・更新指針を策定し、国の整備計画を踏まえた施策が提示される予定となっています。
 一方、県では、県及び市町村ニーズの把握、国の標準仕様の的確な反映、効果的なGIS普及に向けた課題の抽出などを調査研究するため、平成9年度から「岐阜県GIS導入研究会・技術部会」を設置し、検討が進められ、平成11年度に「岐阜県GIS導入指針」(以下「県指針」という。)が策定されたところです。
 県指針は、空間データの標準化を示す「岐阜県空間データ発注仕様書(空間データ調達仕様書、空間データ基本仕様書)」並びに空間データの整備の具体的な手順、県及び市町村の空間データの分担整備と流通、県GISセンターの整備を示した「データ整備・更新指針」からなり、県の計画では、統合型GISの実現目標は平成15年度とされており、平成13年度には県域統合型GISの詳細設計を行い、市町村においては平成14年度から共有空間データの整備を開始することとしています。
(「GISに関する県の考え方(県域統合型GIS)」参照はこちら

現状におけるGISの課題と解決策
 市町村においてGISの導入が進んでいますが、いくつかの課題があります。今日的には、国、県における空間データの標準化等の取組、特に県指針により、段階的に具体的な解決策が示されています。

空間データのセットアップ・更新に関する課題と解決策
 空間データのセットアップ・更新に関する課題としては、経費が高額であることです。市町村によっては、庁内の異なる業務で空間データを重複して管理されており、業務ごとに空間データの更新を別々に行わなければならない重複投資があります。
 この課題に対しては、以下のような解決策があります。


空間データの整備に関する特別地方交付税等の財源措置を活用する。
地番図等図面整備のために作成した既存空間データを活用する。
県指針に合わせた空間データの調達により企業の選択の幅を広げる。
県指針により、県及び市町村の空間データの分担整備と流通を行う。
地番図、地形図等共通して利用できる空間データを共有空間データとして統合し、統合型GISの導入を行う。(「地方公共団体におけるGISに関する自治省の考え方」参照はこちら

 整備の基準、手法が分からないといった空間データの整備の在り方の課題については、自治省の共用空間データ調達仕様案及び県指針を基準として活用することが必要です。

GISアプリケーションの導入・運用に関する課題と解決策
 GISアプリケーションの導入・運用に関しては、GISアプリケーションの価格、カスタマイズ経費共に高額であるという課題があります。
 空間データの標準化により、アプリケーションの選択の幅が広がり、経済的なシステムの導入が可能になると考えられます。

統合型GISの実現、民間への空間データの提供、空間データの流通に関する課題と解決策
 地方公共団体におけるGISに関する自治省の考え方に基づく統合型GISの導入、民間への空間データの提供、空間データの流通を行う場合にも、いくつかの課題があります。

統合型GIS実現に向けた課題と解決策
 既に整備されている空間データと標準化された空間データとの形式の違いについての課題に対しては、標準化が進むことにより、既に整備されている空間データのうち、県指針の位置精度等の基準を満たすものについては、変換ツールによって標準化された空間データに変換が可能と考えられます。
 業務ごとに必要とされる位置精度、更新サイクルが異なり空間データの共有ができないという課題に対しては、以下のような解決策があります。


県指針では、空間データの項目ごとに位置精度が定義され、異なった位置制度のデータの混在や、更新サイクルが異なる項目を混在させることが可能となっており、法制度についても見直しが期待されています。
地方税法により固定資産税業務で整備された家屋図等を他業務で利用することができないということに対しては、統合型GISの共有空間データとして家屋と筆界を整備し、それを固定資産業務で利用するというデータ整備の位置付けの変更により、クリアが可能とされています(県指針のデータ整備・更新指針)。

 現在のところ、空間データの標準化が行われたばかりであり、標準化された空間データを活用するGISアプリケーションがないという課題に対しては、各企業が段階的に対応していくと考えられます。
 統合型GISでは、共有空間データを庁内で共有するということから、現行のネットワークの容量が不足するという課題に対しては、センターの取組としてネットワーク設計サービスの中で、適正な庁内ネットワークの構築に関する支援を行います。
 共通する空間データを共有空間データとして統合したとき、それをどの部署で管理するかについては、アウトソーシングという方策もあり、県GISセンターの設置後は、共有空間データを維持管理する共有空間データベースサーバの設置管理機能を利用することが可能とされています。


空間データの共有、多目的利用に向けた課題と解決策
 各市町村ごと、各業務ごとに、空間データの形式が異なり、空間データを広域用に統合できないという課題に対しては、以下のような解決策があります。

各市町村が標準化された空間データを整備することにより、各市町村の空間データを広域用に統合して利用する。
県指針では、県域レベルでの統合型GISの実現を目標としており、この県域統合型GISの実現により、県域で空間データを流通し活用する。

 住民サービス、民間への空間データの提供、流通を行う場合、市町村ごとに流通基盤を構築することは、経費の面から困難であるという課題に対しては、県GISセンターの共有空間データ流通窓口機能を利用することが考えられます。

センターの取組
 センターの取組としては、県指針に基づく空間データ整備についての相談・助言、導入・運用支援を行うとともに、平成13年度から、市町村情報化研究会に市町村職員、センター職員及び有識者で構成する「GIS研究部会」を設置し、県指針に基づく空間データ整備の在り方、適用業務の洗い出しと優先順位付けなどの検討を行います。

センターにおける13年度の取組
 センターにおける平成13年度の取組については、国、県の動向を踏まえ、県指針に基づく空間データ整備の支援、汎用的なGISの共同研究・開発を行う「GIS研究部会」の設置、国のGISモデル地区実証実験の受託を通じた技術習得、動向把握などを実施し、市町村の統合型GISの導入・運用支援に務めて参りたいと考えます。


GISに関する県の考え方(県域統合型GIS)
 岐阜県では、自治省の考え方をさらに進め、GISを核とした「岐阜県域統合型GIS」の構築を実現するため、県庁や各市町村の原課に対する取組方針を示す「岐阜県GIS導入指針」(平成12年3月、岐阜県基盤整備部情報通信基盤整備室)を策定した。自治省が示す空間データの標準仕様等と連係し、データ整備更新の手順など、より具体的に検討がされている。

市町村庁内のみではなく県域での重複整備の無いデータ整備・更新
県庁や各市町村の原課が共通的に、自由かつ多目的に利用できる「共有空間データ」を決めることによって重複整備をなくし、データ整備・更新コストの低減を図る。
市町村では、道路管理・固定資産・都市計画・下水道・水道・消防防災・農業の各業務に関連する業務課が主管となり、市町村の共有空間データ及び個別空間データを整備する。
県と市町村が地域ごとにデータ整備を分担(森林地域:県、農業地域・都市地域:市町村)することによって岐阜県域の共有空間データの完成を目指す。

データの相互流通
県庁及び各市町村において整備される空間データを相互に流通する仕組みを構築する(データの特質や所在を案内するクリアリングハウス、県域のGISに係る各種サービスの提供機関となるGISセンター、インフラとしての岐阜情報スーパーハイウェイ等)。
統合型GISの広域利用を踏まえたセキュリティ対策、法制度の対応を図る。

岐阜県GISセンター
市町村の各業務で保有する空間データの統合を支援し、県域レベルの空間データの整備・登録を行い、維持管理をするとともに、民間、住民及び県内市町村間でのデータ流通の窓口となる。また、GISに関する教育等の支援を担う。


地方公共団体におけるGISに関する自治省の考え方
統合型GISの導入
統合的な情報の利用とコスト削減等の観点から、各部局で共通に利用することが可能な共用空間データを整備すること。
個別部局においては、共用空間データに各業務固有の空間データを重ね合わせて利用する形態をとる統合型のGISの導入を推進すべきである。

民間への空間データの提供、空間データの流通
地方公共団体が保有する空間データのうち、関係法令や個人情報保護の観点から特に問題がないものについては、民間に広く流通させることを前提とし、積極的に外部に提供することが必要である。
民間が保有する空間データを地方公共団体が活用することも望まれる。

「IT革命に対応した地方公共団体における情報化施策等の推進に関する指針」
(平成12年8月28日、自治省)より