トップページへ 広報誌 ネット&ライン>No.93 最新号 バックナンバー

広報誌 ネット&ライン No.93 2001 夏号
もどる

情報化レポート
行政における電子認証基盤の概要
財団法人岐阜県市町村行政情報センター情報企画室

 近年のデジタル・ネットワーク技術の発展は目覚しく、インターネットの爆発的な普及により社会・経済活動のネットワーク化が進んでおり、このネットワークを利用した情報の交換が行われています。
 こうしたネットワークを利用した電子認証が制度面、システム面の両面において整備されつつあります。

電子認証とは
 ネットワークを用いた情報の交換では、相手の顔が見えないために本当に意図している人間なのか、また受信した情報が途中で改ざんされていないかが問題となります。この問題を解決する技術的な手法として電子認証が考えられました。
 電子認証とは、交換・提供される電子化された文書等が間違いなく作成者本人によって作成され、受取人に渡るまでに不正な変更等が行われていないことを、暗号技術の活用及び第三者の認証機関(認証局)により証明しようとするものです。(「情報用語キーワード」参照)
 この電子認証においては、現実に行われている署名・押印を電子的手段で代替し、電子署名が行われます。


政府における情報化推進
 政府は、社会・経済活動の一層の情報化推進を目指しており、それに必要不可欠な電子認証をインフラとして整備するための制度面、システム整備面の両面での取組を行っています。
 平成13年4月1日に施行された「電子署名及び認証業務に関する法律」では、電子署名や電子認証を行う業務に一定のルールを課して、電子署名に手書きの署名や押印と同様な法的位置付けを与えました。


民間認証局による電子認証
 現在、インターネット等を用いた商業取引を行う場合、日本ベリサイン株式会社等民間の認証局を用いた電子認証が行われています。
 この民間認証局においては、法人等の組織の認証と個人の認証のサービスが行われています。


政府認証基盤
 政府は、2003年度までにネットワークを通じて申請・届出等の行政手続きを行うことが可能な「電子政府」の基盤の実現を目指しており(「ミレニアム・プロジェクト(新しい千年紀プロジェクト)について」平成11年12月、内閣総理大臣決定)、そのために、政府における電子認証の仕組を整備しています。
 これを政府認証基盤(GPKI:Government Public Key Infrastructure)といい、この基盤と電子署名法による民間認証局による電子認証、後述する商業登記に基礎をおく電子認証、印鑑証明と同様の機能を持つ個人認証とを連携させることにより、政府と国民や企業との情報交換において、それが間違いなく本人によって作成されたものであり、受取人に渡るまでに不正な変更等が行われていないことが保証されます。


商業登記に基礎をおく電子認証
 従来、企業間取引においては、取引相手方の本人性、法人の存在、代表権限の存在を確認するために信頼性の高い手段として、商業登記所が発行する印鑑証明が用いられてきました。商業登記に基礎をおく電子認証は、電子取引において、この印鑑証明に代わるものとして発行するものとされています。
 当然にして、電子取引のみで活用されるものではなく、法人を認証するものとして、様々なネットワーク上の情報交換に用いることができるものです。


総合行政ネットワークにおける認証基盤
 一方、総務省では、地方公共団体間を相互に接続するとともに、省庁間のネットワークである霞が関WANとも結ぶ総合行政ネットワーク(LGWAN:Local Government Wide Area Network)の構築を進めており、都道府県及び政令指定都市については平成13年度まで、その他の市町村については平成15年度までに構築を行うこととしています。この総合行政ネットワーク内では、政府、地方公共団体間との電子文書等の情報交換が行われるため、それに必要な電子認証基盤が基本的な機能として整備されます。(Net&Line No.92「総合行政ネットワークの概要」を参照)

地方公共団体における認証基盤
 地方においても「電子自治体」の実現に向けた取組が必要とされており(「IT革命に対応した地方公共団体における情報化施策等の推進に関する指針(平成12年8月28日、自治省)」)、その一つの機能としてネットワークを通じた申請・届出等の実現を目指しています。
 これを実現するためには、申請・届出を行う住民側、申請・届出を受理し決定書等を通知する地方公共団体側の両方に認証が必要となります。

地方公共団体の組織認証
 地方公共団体側の認証基盤としては、LGPKI(Local Government Public Key Infrastructure)があり、このシステムには、前述の総合行政ネットワークの認証機能が用いられることとされています。
 この構築については、総務省において平成12年度に基本仕様の策定が行われ、平成13年度から都道府県・政令指定都市等での構築が開始され、平成15年度にはすべての市町村において構築が要請されています。
 構築後には、地方公共団体から発信される電子文書等には、この認証基盤による電子署名が付されることになります。
印鑑証明と同様の機能をもつ個人認証
 実社会における本人の同一性と意思の確認は、実印と印鑑登録証明書といった公的な認証制度による方法を始め、運転免許証、健康保険証等の身分証明書と認印との組み合わせの方法、単なる記名押印や記名のみなどの方法が使い分けられていますが、公的機関が発行した文書が用いられるケースも多く、そうした文書はすべて市町村が備え付けることとされている住民基本台帳が基本となっています。
 既に民間認証機関において電子的に個人を認証するサービスが提供されていますが、行政手続等のうち、特に厳格な認証を要するものについては、住民たる個人を認証する法的根拠を持たない民間認証機関の個人認証サービスで対応できる範囲には限界があると考えられています。
 これらのことから、住民たる個人を認証する法的根拠を有する地方公共団体において、電子認証基盤の構築が求められています。
 このため、住民側における認証として、地方公共団体が交付している現在の印鑑登録証明と同様な機能をもつ電子認証の実現に向けた検討が総務省において進められており、平成15年度までに運用開始されることが目標とされています。
 現在までの検討の内容では、以下のとおりとなっています。
・各市町村が認証局の一部機能(登録局)を持ち、残りの機能(発行局)を全国で一の機関で担う。
・住民基本台帳カードの利用をも含めたICカードを利用する。


参考資料
「高度情報通信社会推進に向けた基本方針」平成10年11月、高度情報通信社会推進本部決定
「ミレニアム・プロジェクト(新しい千年紀プロジェクト)について」平成11年12月、内閣総理大臣決定
「申請・届出等手続の電子化推進のための基本的枠組み」平成12年3月31日、行政情報システム各省庁連絡会議了承
「政府認証基盤の基本的な仕様」平成12年7月27日、行政情報システム各省庁連絡会議幹事会
「総合行政ネットワーク説明書」平成12年10月、自治大臣官房情報政策室
「地方公共団体における個人認証基盤の在り方について」平成12年7月27日、自治省
「地域IT推進のための自治省アクションプラン」平成12年12月25日、自治省地域IT推進本部



電子認証基盤の概要図