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広報誌 ネット&ライン No.93 2001 夏号
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リフレッシュコーナー
職場における健康管理 [第6回]
岐阜大学医学部衛生学教室助教授 井奈波良一

VDT作業者の健康管理 −その2−
【VDT作業の作業環境管理】
 パソコン作業環境として、眼の疲労を予防し、作業能率を高めるために照明・採光を明る過ぎず暗過ぎないように調整する。また、机の置き方を慎重に検討してまぶしい窓に向かう方向にならないよう、また、後ろからの映り込みが画面に入らないようにする。画面は眼の高さよりやや下、すなわち画面の上端が眼の高さより下にあり、その視線は10度くらい下向きになるようにする。そして画面は、反射光(画面の映り込み)が見えないようにあまり上向きにしない。画面フィルタは、文字の鮮明度を低下させ、それ自体が反射を起こして見にくくなり、取り外したほうがよいことがある。
 騒音対策として、音の静かな機器を選んだり、騒音源に防音カバーを設置することなどや、温湿度の快適化のために夏の冷房が効き過ぎないように26℃以上に設定すること、エアコンの風が作業者の身体に直接当たらないように調節したり、空気を乾燥させ過ぎないように湿度を45%以上にすることなども重要である。


【VDT作業の作業管理】
休憩と作業姿勢
 長時間のVDT作業は、眼や上肢などの身体的疲労を生じさせるだけでなく、精神的疲労の蓄積にもつながる。連続的にキー操作をするような作業では、一連続作業時間が1時間を超えないようにし、次の連続作業までの間に10分〜15分の休憩時間を設けることが推奨されている。また、一連続作業時間内においても、小休止を1〜2回設けることが望ましい。休止時間には遠いところを眺めて眼の緊張を取り、背伸びなどストレッチングや適度な運動も、全身のリラックスによい。しかし、平成9年の中災防の調査では、作業時間に関する項目が作業管理上の対策として実施されている事業場は48%に過ぎなかった。
 正しい作業姿勢をとることが疲れを防ぐ決め手となる。作業姿勢の基本は、パソコンと椅子・机を作業者に合わせて調整し、ねじれや前傾姿勢にならないようにすることである。よく見られる背もたれを使わず椅子にちょこんと腰掛けた姿勢では、背中の肩甲骨付近に筋肉痛を生じる。
 作業姿勢について特に注意すべき点を挙げると(1)目とディスプレイ画面の距離は40cm以上保つようにする。(2)机の高さは60cm〜75cmが望ましい。手首を休ませることができるようにキーボードの手前に8cm以上の机の余裕があるようにする。(3)ディスプレイやノート型パソコンは正面にくるように設置する。(4)椅子は深く腰掛け、背もたれを背に当てる。(5)机の下は十分なゆとりがあって、膝が入り、足の裏全体を床に付ける。(6)椅子は高さが35cm〜45cmの範囲で調整できるものを使用する。(7)ノート型パソコンでも外付けのマウスを使うようにする。前述の中災防の調査では、机や椅子に関する対策が実施されている事業場は80%に達していたが、平成10年の労働省の調査では約40%の作業者が机・作業台・椅子及び作業空間が不適当であると回答していた。

マウスの使い方
 マウスは手指や手首だけでなく、腕や肩も動かして操作する。マウスをクリックするときや動かすときは、手に力を入れ過ぎないようにする。そのため、マウスのスピード(マウスをパッドの上で動かす距離とカーソルが画面上を動く距離の比)を適切に調節する。マウスを細かく動かしただけで、カーソルが大きく動くように設定されていると、目標を正確にクリックしにくいため、過大な力が上肢や指にかかって負担が生じ、目標を凝視するため眼も疲れる。マウスの掃除も月に1〜2回必要である。

【VDT作業と眼の疲労】
 眼の疲れは、(1)採光・照明の問題やコンピュータ画面の質・見やすさに問題があるとき(2)メガネが合っていないなど視機能に問題があるとき(3)過労や精神的不調など全身的な問題があるときに起きる。
 40歳以上では老眼が問題となるので、40cm〜50cmが楽に見えるメガネをかけることが大切である。コンタクトレンズを装着すると目が疲れやすく、ドライアイにもなりやすいので、メガネで矯正しにくい者(強度近視や左右差の大きい不動視など)でない限りコンタクトレンズで長時間のコンピュータ作業は避けたほうがよい。

参考文献 
三澤哲夫:
労働態様の変容とVDT労働衛生管理の課題.
労働の科学 55(2): 4-9, 2000.
宮尾克、高柳泰世:
眼を大切に.安全衛生のひろば
41(10): 6- 16, 2000.