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広報誌 ネット&ライン No.94 2001 秋号
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スポットライト
電子自治体の推進について
内閣官房IT担当室 樋田幸浩


 私は、元々岐阜県庁の職員ですが、昨年8月末より現在の所属に派遣となりました。御存知の皆さんも多いかと思いますが、IT担当室は、森前総理の時代に我が国のIT政策について政府を挙げて取り組むため、平成12年8月初めに内閣官房に新設された組織です。
 これまでにIT担当室は、IT基本法の制定、同法に基づくIT戦略本部の設置(これには有識者として本県の梶原知事も本部員になっています。)、「e-Japan戦略」の決定、「e-Japan重点計画」の策定等に携わってきました。
 「e-Japan戦略」は、我が国を5年以内に世界最先端のIT国家となることを大目標に、平成13年1月22日に開催されました第1回IT戦略本部会合において決定されました。この目標を実現するため、(1)超高速ネットワークインフラの整備及び競争政策、(2)電子商取引ルールと新たな環境整備、(3)電子政府の実現、(4)人材育成の強化を4本柱として推進することにしています。そして、平成13年3月にこれらを迅速的かつ重点的に取り組むべきポイントを整理したものが「e-Japan重点計画」として決定されました。
 私は、地方公共団体出身者ということもあり、これらのうち「電子政府」とりわけ「電子自治体」の担当をしておりますので、これから私がお手伝いをしていることについてお話をさせていただきたいと思います。

これまでの取組
 「電子政府」の推進について各府省は、これまで平成9年12月20日閣議決定された改訂版「行政情報化推進基本計画」などに基づき、行政情報の電子的提供、申請・届出等手続の電子化、ワンストップサービスの実施等を推進してきましたが、「e-Japan戦略」の重要な柱の1つとしても位置付けられ、計画の前倒し等を含め、さらなる取組を行ってきているところです。
 これに対し「電子自治体」は、国に比して少し取組は遅れているのですが、昨年8月28日に「IT革命に対応した地方公共団体における情報化施策等の推進に関する指針」が当時の自治省(現総務省)から示されました。また、昨年末には申請・届出等手続のオンライン化に関する「政府の取組方針」も決定され、政府として地方公共団体と連携しつつ、環境整備等可能な限りの支援を行うこととしたところです。
 最近では、自治事務等の申請・届出手続きのオンライン化に関するアクション・プランが関係省庁から提示され(各省庁のHPに掲載されています。)、具体的にどういう手続が、どのようなスケジュールでオンライン化されるのかがある程度分かるようになりました。

加速化する「電子自治体」
 「電子自治体」という言葉は少し前から使われ、最近では当たり前の言葉になってきました。しかしながら、その実現性という意味では、ここ数か月で加速的に現実味を帯びてきたように思えます。すなわち、1年前に自治省から前述の指針が発表された時は、総合行政ネットワーク(LGWAN)や、住民基本台帳ネットワーク等各種基盤整備についてスケジュールの明確なものもありましたが、時期等が不明確なものが少なからずあり、「行政の情報化」がどのように進むのかイメージしづらかったのではないかと思います。
 ところが、IT社会を実現するために国民に身近な「電子自治体」の構築は必要不可欠であるとして、IT戦略本部でも精力的に議論がなされ、それらの提言を受け、政府としても積極的に推進することとなり、多くのプロジェクトについて大きな進展がありました。
 例えば、それぞれの団体がオンライン申請等を受付けるシステム(汎用システム)が重要な基盤として不可欠ですが、その基本仕様の概要を平成13年3月にまとめた後、現在、総務省において「電子自治体推進パイロット事業」の一環として進めているところです。これには大垣市もパイロット団体として採択されたところですが、今後、各地方公共団体がシステムを導入するに当たって、過度な負担を強いられることなく、複数の団体が共同で利用できるシステム(ASP方式等)という新しい方法の構築も視野に入れております。
 個人認証基盤の構築については、いわゆる電子印鑑証明のようなものであり、これからオンライン手続を行う上で、個人を特定するのに不可欠なものになると思われますが、総務省において短期間のうちに精力的な取組がされた結果、平成15年度からの運用について目途が立ちました。
 また、電子投票については、現在では「自署」から「ボタン」への移行の段階ですが、次期臨時国会で改正法案が提出される予定で今後地方選挙から順次導入されることになりそうです。
 具体的手続のオンライン化についても大きな進展が見られています。法令等に基づく申請・届出等をオンライン化しようとする際、例えば「書面をもって提出しなければならない。」という条文があった場合、この条文をオンライン申請・届出が可能になるように所管府省が改正しなければなりません。そこで、政府としては、法令等オンライン化への障害を取り除いたり、オンライン化への標準仕様を提示する等地方公共団体のオンライン化への環境整備を実施することとしました。具体的には、各府省において、それぞれが法令等を所管する自治事務や、法定受託事務のオンライン化するためのアクション・プランを策定しました。
 このアクションプランは、平成13年6月26日の第5回IT戦略本部でその概要について事務局である当室より報告しましたが、5,000件以上ある自治事務、法定受託事務手続のうち約95%について、国が実施要領等を提示するというものです。このことにより、平成15年度には、法令に基づく大半の手続が地方公共団体でシステムを構築次第、住民の方々がオンラインで手続が行えるようになります。
 具体的に身近な手続について例を挙げますと、パスポート発給の申請手続き(法定受託事務)に関して、現在申請者(住民)は、所定の申請用紙に必要事項を記入し、戸籍謄(抄)本、住民票の写し及び写真等を添付して県の旅券センターに提出します。数日後パスポートの交付のために、再度旅券センターへ出向かなければなりません。つまり、申請者は、申請時と交付時の2回旅券センターへ出向くこととなります。さらに、戸籍謄(抄)本、住民票の写し等添付書類を取得するため、市役所や町村役場に行かなければなりません。ところが、オンライン申請が可能になれば、申請時は旅券センターへ出向く必要がなくなり、パスポート交付時のみ出向けばいいことになります。さらに、添付書類についても、住民票の写しについて住民基本台帳ネットワークシステムを利用すれば、添付の必要もなくなるかも知れません。(具体的な手続フローについては、現在外務省で検討中。)
 このように、それぞれの手続が目に見える形でオンライン化されるのも、そんなに遠くない時期に実現するのではないでしょうか。

これからの地方公共団体の在り方
 さて、既述のように制度面、システム面で着実に「電子自治体」の構築が進んでいく中で我々はいかに対応していけばよいのでしょうか。
 申請・届出等手続、各種情報の提供のオンライン化等は、IT社会の中で住民の利便性、負担軽減という観点から、これからも需要は大きくなり、また、地方公共団体は、それに対応していかなければならないと思います。
 そのためには、具体的に何をしていけばいいのか。私は、まず職員の意識改革であると思っています。このことは、国においてもそうなのですが、例えば○○省として各種申請手続のオンライン化について推進する旨公表していても、原課は必ずしも具体的にいかなるスケジュールや、手順でオンライン化を実施していくのか理解していないケースがしばしば見られます。やはり新しいことを導入する際には、技術的な面から制度的な面までいろいろと困難が伴います。
 10数年前にワープロが一般に普及し始めた頃、それへの対応に苦慮された方が少なからずおられたと記憶しています。ですが、現在ではワープロ打ちの書類は、もはや当たり前になり、手書きの文書の方が珍しくなっています。この「手書き」から「ワープロ」へのプロセスが「紙」から「電子」へ置き換わったと考えていただければ分かりやすいと思います。
 今後、電子的なやりとりが確実に増加する中で職員もこの時代の流れを理解し、これに対応すべく既存の概念を変えていくことが必要であると考えています。
 現在の紙ベースの手続をオンライン手続に置き換えた場合、様々な問題が想定されます。例えば、押印はどう担保するのか、大量の資料を添付できるのか、受付日・時刻をどう扱うか等々。しかし、問題があるからといって何もしないというのは、現在の時代の流れに取り残されてしまうことになると思います。
 それよりも、我々として「何ができるか。」ということを考えなければなりません。例えば、押印が必要な手続があった場合、そもそも押印は必要なのかどうか。よくよく調べてみると慣例で印鑑を必要としている手続も多いのではないかと思います。「規則等に書かれているから」ということであれば、規則を変えればいいのではないのでしょうか?
 また、住民票の写しの添付が必要な手続があったとしても、それが省略できないか、来年8月から稼動する住民基本台帳ネットワークによる確認で代替できないか等いろいろ検討できると思います。法令で定められているため、いかにもし難いということであれば、国に改正の要望を行うということもできると思います。
 いずれにしても、最も肝要なのは、まず第一歩を踏み出すことだと思います。
 最後に今我々は大きな変革の時代の真っ只中にいます。その中にあって、変革を的確にとらえ、自分自身を変えていく勇気を持っていくことを期待したいと思います。その際、私も微力ながら、現在東京で働いている岐阜県人としてお役に立てることもあるかも知れません。皆様が仕事を進めていかれる中で困ったこと、わからないこと等ございましたら、気軽に連絡をしてください。
 皆様方の御健闘をお祈り申し上げます。(了)