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広報誌 ネット&ライン No.95 2002 冬号
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情報化レポート
ICカードに関する国等の動向
―多目的活用に向けて―
財団法人岐阜県市町村行政情報センター情報企画室

 1枚のカードに大量のデータを安全に格納できるICカードは、今後のIT社会において紙カードや磁気カード等に代わる存在として注目されており、既に民間分野ではプリペイドカード、証明証、通行券等として普及し始めています。他方、公的分野においても住民基本台帳カードのICカードによる交付が予定されており、その他の行政サービス等に関してもICカードの利活用が検討されています。また、個人認証のツールとしてICカードを活用し、電子政府、電子市役所・役場の機能のひとつであるワンストップサービスや電子申請など地域、サービスの枠を越えた多目的な活用についても検討されています。

ICカードの行政における活用
国における取組
 国においては、これまで様々な取組が行われてきました。
 平成3年度から平成6年度に行われた自治省(現総務省)の「自治省コミュニティネットワーク構想」事業においては、地域カードシステムの標準システムを開発し提供されましたが、全国レベルの標準システムの普及にはつながりませんでした。
 また、総務省(旧郵政省)の「マルチメディア・パイロットタウン構想」、経済産業省(旧通商産業省)の「ニューメディアコミュニティ構想」、「電源地域ICカード実証実験」、厚生労働省(旧厚生省)の「医療保険カード実験」など、ICカードの活用についての取組が行われています。
 なお、これらの取組は、各省庁が独自に行っています。


行政におけるICカードの共通化
 平成13年3月には、「公的分野におけるICカードの普及に関する関係府省連絡会議」が設置され、同年4月にICカードの一本化が各省庁課長級担当者の検討会で大筋で合意がされました。また、平成13年7月には、関係府省連絡会議において、共通ICカードの仕様について住民基本台帳カードの仕様をベースとすることの申し合わせがされましたが、仕様を一本化するということで、特定のICカードを共通カードとするには至りませんでした。

経済産業省の「ICカードの普及等によるIT装備都市研究事業」
 経済産業省では、行政アプリケーション、診察券、決済、プリペイドカード等の民間アプリケーションを搭載することができるICカードを住民等に大規模に配布する実証実験を行う「ICカードの普及等によるIT装備都市研究事業」を平成13年度に行うこととしています。
 今秋から全国21地域で実証実験を行うこととしており、岐阜県では、多治見市及び笠原町が採択されました。
 この事業において開発を目指すアプリケーションは、証明書等自動交付、保健、福祉、医療、介護、公共施設、決済等となっています。


住民基本台帳カード
 住民基本台帳カード(以下「住基カード」という。)は、住民基本台帳ネットワークシステム(以下「住基ネット」という。)において、転入出時の手続きの簡略化を実現するとともに、住民票の写しの広域交付などに利用できるものとされており、住民への交付開始は、平成15年8月が予定されています。
 また、住基カードは、住基ネット上の本来の利用のほか、市町村において条例に規定することにより、ICカードの特性を活かした様々な独自利用が可能となっています。
 市町村においては、独自利用に基づく住民へのサービス提供を住基カードの交付に合わせて行えるよう、今後、条例の整備、サービスのスキーム等を検討する必要があります。


住民基本台帳カードの多目的活用を取り巻く状況
総務省の取組
 総務省では、「住民基本台帳カードの利用方法等研究会」を設置し、住基カードの多目的活用に関する検討が進められています。
 本研究会が平成13年9月にまとめた「住民基本台帳カードの利活用について」では、住基カードの活用範囲として、(1)市町村の事務として位置づけられる分野での利用であること、(2)その利用目的が条例により定められたものであること、(3)法令に抵触しない利用であることとしています。
 具体的な利用方法の例示として、次のものが挙げられています。

○証明書発行関係
住民票の写しのほか各種証明書(印鑑登録証明書、市町村税関係証明書、その他市町村行政証明書)の発行に利用
各種証明書交付申請書自動作成に利用 等

○公共施設関係
体育文化施設等公共施設の利用者証の機能を有し、入退館の管理、利用状況の確認、利用予約等に利用
図書館利用者証の機能を有し、入退館の管理、貸し出し、返却、予約等の手続に利用

○社会教育関係
地域住民を対象とした市民大学などの受講証等に利用

○保健・医療・福祉関係
健康診断情報、アレルギー情報等のデータを記録させ、緊急時における救命救助処置等に利用
高齢者に対する福祉サービスの利用者証の機能を有し、利用状況等のデータ管理に利用
 また、サービスのスキーム全体に市町村長の管理が及ぶ範囲として考えられるものとして次のものが挙げられています。

○公共施設の利用料等の支払いに係るプリペイドサービス
対象施設の窓口の合理化、利用者の利便性等の観点から、公営のプール、トレーニング施設、文化施設の利用料等に対する支払いに利用

○商店街におけるポイントサービス
市町村の地域振興策として行う商店街振興等に利用


財団法人地方自治情報センター「ICカード標準システム開発及び実証実験事業」
 財団法人地方自治情報センターは、住基カードの多目的活用を目指して、「ICカード標準システム」を開発し、実証実験を経て全国の市町村へ普及するという「ICカード標準システム開発及び実証実験事業」を平成13年度から開始しています。
 アプリケーションは、以下の5つとされています。
証明書等自動交付  証明書等自動交付機を利用して、住民票の写し、印鑑登録証明及び各種税関係証明書の自動交付を行う。
申請書自動作成  証明書等交付のための申請書を自動作成する。
成人保健  成人の健康診断情報を保管し、保健サービスに活用する。
救急支援  緊急時の救急支援を行う。
公共施設予約  公共施設の利用予約等を行う。
 実証実験については、32の市町村で行うこととされており、岐阜県では、大垣市が採択されました。

参考資料
・「住民基本台帳カードの基本的な考え方」財団法人地方自治情報センター(平成13年5月)
・「ICカード標準システムの開発に係る推進委員会」での配布資料、財団法人地方自治情報センター(平成13年6月21日)
・「住民基本台帳カードの利活用について」住民基本台帳カードの利用方法等研究会(平成13年9月)