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広報誌 ネット&ライン No.95 2002 冬号
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随想

水と森の聖地
〜豊かな自然がメイン産業〜

 岐阜県の北西部に位置する清見村は、県内でも屈指の面積を誇り、太平洋と日本海に流れ出る3つの源流域となっています。総面積の約96%が森林によって占められ、その豊かな森はいくつもの透きとおるような清流を育んでいます。これらの美しい清流は「清見村」の名の由来にもなり、村民の誇りでもあります。
 特に永年、村民によって大切に保全整備されてきた「せせらぎ街道」沿道の森林や清流は、県立自然公園にも指定され、今や広く村外の人たちにも慕われています。また、生活環境保全林「せせらぎ街道・四季の郷」としても整備され、水源涵養や国土保全のみならず、精神保養ができる場として親しまれ、春夏秋冬、美しい自然景観を求める多くの人たちに親しまれています。

▲紅葉のせせらぎ街道
 清見村は3つの水系の源流域であり、日本海側と太平洋側をへだてる分水嶺を持つ村です。水源の村として私たちは美しい清流を守る責務があり、地域のみんなが理解しています。近年、川の上流・下流の交流が重要視され、上下流一体となって水源涵養の問題に取り組んでいく流域意識が醸成されています。そんな中、清見村においても、緑化植樹祭の取組の一環として、富山県の漁民が植樹に参加する「グリーンフェスタ」と銘打ったイベントを毎年実施するなど、様々な取組を行っています。
 一方、これらの森林資源を活用した飛騨の匠の伝統を受け継ぐ木工業やクラフトが近年、盛んに行われ、新たな村の活力を生み出しています。
 清見を訪れれば、いつも豊かな森・美しい清流に出会えるのは、村内外のたくさんの人たちが保護と育成の両面から森を見続けているからです。

▲グリーンフェスタ・源流の森づくり

▲源流の森


飛騨牛の郷
〜軌道に乗る村内一貫体制〜

 今や、飛騨牛は子牛、枝肉とも全国トップクラスにまで成長し、全国ブランドとして発展しました。これも地域一体となった永年の育種改良の成果であり、先人の弛まぬ努力の賜であります。村内には岐阜県の畜産の核である岐阜県畜産研究所や岐阜県飛騨牧場などの施設も所在し、品種改良などの研究が進められています。清見村は飛騨牛の名声を全国に轟かせた名種雄牛「安福」が育った地でもあります。
 清見村の畜産は昭和34年に繁殖の共同経営が、昭和38年には肥育の共同経営が生まれ、以来、地域に根ざした先進的経営が進められてきました。本村の農業生産の中での畜産の位置づけは極めて大きく、畜産は村の基幹産業の一つであります。
 しかしながら、畜産を取り巻く環境は決して順風満帆なものではなく、輸入自由化による肉牛価格の下落、肥育素牛や飼料の高騰など非常に厳しい状況が続いてきました。昭和49年頃から家畜糞尿に起因する公害問題が発生し、その対応が畜産経営の存続を左右する大きな問題となりました。そこで本村では昭和59年に「農事組合法人清見コンポストセンター」を設立し、村の土づくり運動にタイアップした良質な堆肥の生産を行い、村内の耕種農家の堆肥を一手に引き受けるのと同時に、堆肥処理の抜本的な解決を図り、大きな成果を上げています。この良質な堆肥で育てられたトマトやホウレンソウなどの高冷地野菜の生産も盛んで村の産業を支えています。
 また、全国的に肥育素牛の確保が厳しくなる中、平成2年には「飛騨牛」の素牛の安定供給と和牛改良を目的に肥育農家の出資による「農事組合法人飛騨牛繁殖センター」が設立され、現在約200頭の繁殖牛が飼育されています。ここでは良質な肥育素牛の生産を行うと同時に、受精卵移植による子牛生産を酪農の借り腹を使って行い、村内の酪農、肥育、繁殖農家それぞれにメリットのある方法を取り入れ、村内一体となって優良和牛の増産に力を入れています。今後はさらに100頭の繁殖牛を増やし、より一層の畜産振興を図り、もっては飛騨牛の銘柄の更なる推進に資することができたらと考えております。

▲飛騨牛の肥育


▲村営「小鳥山牧場」


飛騨牛の銘柄を全国に
〜和牛のオリンピック 第8回全国和牛能力共進会〜

 平成14年9月26日から30日までの5日間、第8回全国和牛能力共進会が清見村と高山市において開催されます。これは和牛改良と生産伸長を目的として行われ、全国から種牛300頭と肉牛150頭が集結し、産肉能力などを競うものです。国際競争の中で和牛改良の方向性を実物で展示し、改良体制の育成強化が図られます。主要産地に比べ飼養頭数が必ずしも多くない当県での開催となりますが、出品牛対策、施設整備、運営等に関係機関の協力を得ながら鋭意取り組んでいるところであります。すべての面において万遺憾なきを期して臨み、大きな盛り上がりの中でこの共進会を成功に導きたいと願うものであります。
 この共進会が飛躍的な畜産振興に繋がることのみならず、全国規模の大きなイベントとして県全体の活性化の起爆剤になることを期待して止みません。

新しい山村理想郷の創造

 21世紀を生きていく子どもたちのために、健全な生活ができる環境を残していくことは重要な課題であります。かけがえのない村の資源である大自然の恵を大切に守り育て、美しい山村風景・田園風景をつくりあげることで、後世まで自慢ができ、自然と共存できる村づくりを進めていきます。
 一方、平成12年10月に永年の悲願でありました東海北陸自動車道荘川〜飛騨清見間が開通し、清見村に空前の衝撃をもたらしました。村は歴史的転機を迎え、大きな飛躍に繋げるよう様々な施策を講じているところであります。自然との共生を図りながら、今後さらに延びゆく東海北陸自動車道、中部縦貫自動車道、それに伴い整備されてゆく道路網を最大限に活用し、飛騨一円を緑あふれる循環型の観光地として発展させていけたらと思います。
 また、村民が真の豊かさと安らぎを実感できるよう、これまでにも福祉・医療・保健の充実に努めてきましたが、今後も引き続き福祉サービスの充実に力を入れ、福祉が豊かに息づく村づくりを目指していきます。
 美しい森と清流に包まれた中で、世代を超えて助け合い、仲良く暮らしていける人情の村がみんなの願いです。