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広報誌 ネット&ライン No.96 2002 春号
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ITポータルサイト
地方公共団体の行政情報化について
総務省自治行政局地域情報政策室電子自治体推進係長 北村崇史

はじめに
 世界規模で生じている情報通信技術(IT)による産業・社会構造の変革、すなわちIT革命は、18世紀に英国で始まった産業革命に匹敵する歴史的大転換を社会にもたらそうとしている。産業革命では、蒸気機関の発明を発端とする動力技術の進歩が世界を農業社会から工業社会に移行させ、個人、企業、国家の社会経済活動の在り方を一変させた。これに対して、インターネットを中心とするITの進歩は、情報流通の費用と時間を劇的に低下させ、密度の高い情報のやり取りを容易にすることにより、人と人との関係、人と組織との関係、人と社会との関係を一変させる。この結果、世界は知識の相互連鎖的な進化により高度な付加価値が生み出される知識創発型社会に急速に移行していくと考えられる。
 このような状況を踏まえ、総務省においても地方公共団体のIT施策に対する支援を行っているが、今回は、地方公共団体のホームページの開設状況等及び活用事例について述べることとする。なお、文中意見にわたる部分については私見である。また、地方公共団体のデータについては、原則として、13年4月1日現在の状況である。

ホームページの開設状況等について
 地方公共団体が様々な施策を行うに当たり、「透明性の確保」、「住民の皆様からの御意見の反映」等は、重要な事項であると考えられる。
 そのための方法の一つとして、ITを活用する地方公共団体が増加しているが、中でもホームページについては、都道府県は47団体全て(100.0%)、市町村(特別区含む。以下同じ。)は3,247団体中2,704団体(83.3%)が開設している。
 ホームページの主な役割としては、(1)地方公共団体に在住、在勤する皆様に向けた行政情報の発信、(2)地方公共団体外の国内及び国外に向けた地方公共団体についての情報の発信(観光情報、地方公共団体の概要等)に加え、(3)住民の皆様からの御意見をお伺いするための媒体の一つであることが挙げられると思われる。
 (3)の役割を果たす施策として、「ホームページ上などにパブリックコメントを述べることができる。」団体は、都道府県は32団体(68.1%)、市町村は598団体(18.4%)となっており、「住民からの要望に対する返答体制が確立されている。」団体は、都道府県は33団体(70.2%)、市町村は773団体(23.8%)となっている。
 この他にも「メール・電子掲示板等による住民との意見交換を行っている。」団体は、都道府県は33団体(70.2%)、市町村は1,295団体(39.9%)となっている。


ホームページの開設状況等
  都道府県 市町村
団体数 47 3,247 3,294
ホームページを開設している。 47
100.0%
2,704
83.3%
2,751
83.5%
ホームページ上などにパブリックコメントを述べることができる。 32
68.1%
598
18.4%
630
19.1%
ホームページ上で住民からの要望に対する返答体制が確立されている。 29
61.7%
773
23.8%
802
24.3%
メール・電子掲示板等による住民との意見交換を行っている。 33
70.2%
1,295
39.9%
1,328
40.3%

ホームページを活用した事例について
(統合型GIS実証実験より)
 地方公共団体におけるホームページの開設状況等については、以上のとおりであるが、次に、総務省における様々なIT施策の中で「電子化による行政の効率化」、「住民の方々へのサービス向上」に大きく寄与することが期待されている統合型GISの実証実験の中でホームページによる活用が行われたので紹介する。
 GIS(Geographical Information System)とは、地理情報システムと訳されているが、「地理的位置を手がかりに位置に関する情報を持った電子データ(空間データ、又は地理情報)を総合的に管理・加工し、視覚的に表示し、高度な分析や迅速な判断を可能にするシステム」であり、統合型GISとは、「電子データのうち、複数の部局が利用するデータを各部局が共有できる形で整備し、利用していく庁内横断的なシステム」のことをいう。この統合型GISについて総務省(旧自治省)においては、9年度から調査研究を行っているところである。
 13年度は、統合型GISを導入することによって必要となってくる庁内の更新時や運用のルール、より広い範囲での共用空間データの利活用、また、統合型GISの運用は、今までは地図データを用いる業務が多い市町村をメインに検討されてきたが、その広域的な運用等における都道府県の役割について、現在調査研究を行っているところであり、地方公共団体においても関心が高い統合型GISの新たなる活用可能な業務及び統合型GIS導入による費用対効果についても検討を行っているところである。
 これらの検討に必要な実証実験は、運用・更新に関する検討について現在岐阜県、岐阜市及び関市にも多大なる御協力をいただいているところである。また、利活用の促進に関する実証実験については、岩手地区、千葉地区及び高知地区において行っているが、今回は岩手地区における実験について紹介する。
 岩手地区においては、広域環境行政、学校教育及び不法投棄に関する実証実験を行った。中でも広域環境行政の実験の模様については、2月上旬から岩手県のホームページ上で公開され、大きな反響を受けたところである。
 現在、岩手県ではGISを利用して県内のエコスポット情報を公開する「いわてデジタルエコミュージアム」事業を手掛けており、市町村においても環境地元学を通じた取組や学習活動を推進している。
 このような状況を背景に今回「広域環境行政」をテーマに地域団体や教育機関がエコスポットの情報収集を実施する際に共用空間データの利活用の可能性を実証しようとするものであった。実験には地元市民団体等に御協力いただいた。
 実験の手順についてであるが、参加者は、まず5〜6人程度のグループに分かれ、GPS機能と共用空間データを登録した携帯端末PDAやデジタルカメラなどの機材を持ち、携帯端末で表示されるGPSの位置情報を参照しながら情報を収集する(フィールドワーク)。
 収集するデータは、環境地元学のテーマに基づく地域の様々な史跡等の画像データ等である。これらのデータは、一時的に携帯端末のメモリーに保存し、フィールドワーク終了後にGISの編集が可能なパソコンに保存し直した。
 収集したデータは、実験の参加者と担当課で協議考察等を行い、その結果をGISの編集機能を用いて、適宜画像データにコメント等を加えて編集を行うこととなるが、こうして完成したデータについて一般に公開されたところである。また、その成果等については、「実証実験報告書」等によりお示しする予定である。


おわりに
 今回は、ホームページの開設状況等を中心に紹介したが、地方公共団体の行政情報の電子化には、住民の皆様の御理解は欠くことができないものである。また、どんなに立派なシステムを導入しても、職員の方々が使いこなすことができない複雑なシステムであったり、利用の機会が少ないものであっては、費用対効果を得ることが困難である。
 各地方公共団体の実情に応じ、住民の皆様に対する行政サービスの向上、庁内事務の簡素化及び合理化を進めるための行政情報の電子化に、今後も取り組みいただくよう願う。