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広報誌 ネット&ライン No.98 2002 秋号
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市町村合併に向けた情報化の進め方
財団法人岐阜県市町村行政情報センター情報企画室

 近年、地方分権や行政改革の流れを受けて、市町村合併が社会的に大きく注目されています。合併に向けた国の支援策や都道府県の支援等、市町村合併を推進するための様々な環境が整い、各地域において合併に向けた検討が行われています。
 本稿では、13年度に市町村情報化研究会において、「広域化と情報化」をテーマに協議いただき、「合併及び広域化に向けた情報化の進め方について」として取りまとめをさせていただきましたので、その要旨について御報告させていただきます。

市町村合併を前提とした情報化の課題
 現在、合併への動きと同時に電子自治体推進の要請が高まっていますが、その中で次のような課題が発生しています。
 ○ 合併を考えると単独でシステム等の整備・導入を行うことは、将来的に経費の無駄になる可能性が危惧され、情報基盤整備や各種システム導入が積極的にできない。
 ○ これまで各団体が個別に導入していたシステムの統合及びデータの併合が難しい。

市町村合併を前提とした情報基盤整備及びシステム導入の進め方のポイント
 合併までに残された短い期間内にいかにスムーズにシステムを統合するか、統合後の住民サービスの提供に支障を来たさないためにいかに計画的に推進するか、コストを抑えるために複数の市町村で運用されているシステムをいかに効率よく新体制の中で活かしていくかなど、情報システムが合併の成功の鍵を握るといっても過言ではありません。
 ○ 庁内の情報基盤(LAN、一人1台PC)は、合併後に本庁・支所となっても必要不可欠な情報基盤であり、積極的に整備を行う。
 ○ 合併後に本庁・支所となる各市町村庁舎間の情報ネットワークの整備が必要となるため、どのようなネットワークを活用したらよいかを検討する(LGWAN、岐阜情報スーパーハイウェイ、市町村・地域公共ネットワーク(地域イントラネット)の相互接続等)。
 ○ 市町村・地域公共ネットワーク(地域イントラネット)は、合併を行うか否かに関係なく必要となるため、その整備を推進する。
 ○ 各家庭まで接続するCATV等地域情報基盤の整備は、単独で進めると合併後の市町村区域内の地域格差を生み出したり、運用コストが大きな負担となる可能性が高いので、合併する他市町村の状況を勘案し協議の上、行う必要がある。
 ○ 各種システムの導入に当たっては、近隣市町村の状況を確認し、同じベンダの同じシステムの導入を行えば、システム及びデータの統合がスムーズに行いやすい。
 ○ 最近では、共同運営センターにサーバ等を集中化し、システムを複数市町村により共同利用する「共同運営方式(一般的には「ASP(Application Service Provider)」と呼ぶ。)」などの形態が実現しつつあるので、こうした方式の導入を行うと、合併時にシステムの統合がしやすい、機器等の無駄がないなどの利点がある。
 ○ 同じシステムであっても個別要望に基づくカスタマイズを行えば、合併時に仕様の違いを洗い出し、市町村間で調整を行わなければならないなど、多くの作業や経費が必要となる。システムを独自仕様としないことが望ましい。

導入済システムの統合及びデータの併合の進め方のポイント
 合併に当たっては、合併市町村の導入済システムの統合やデータの併合が必要不可欠です。以下は、その進め方のポイントです。

 (1) 各ベンダとの調整(各市町村が別々のベンダの場合)
 異なるベンダのシステムの場合、各ベンダの全面的な協力が必要となるため、各市町村それぞれにおいて責任と主体性をもってベンダと連絡調整を行う必要がある。
 ベンダとしても自社のシステムが利用されなくなるという危惧から、非協力的になる可能性や対応に莫大な改修費を要求する場合もあるため注意する必要がある。
 (2) システム選定の協議(各市町村が別々のシステムの場合)
 各市町村はそれぞれ違う仕様のシステムを用いている場合が多いため、合併による制度の統一化とともに、どの団体のシステムに統合するか協議を行う必要がある。
 それぞれのシステムに応じて、専門部会、分科会等を設置して、制度の統一化と併せて検討する。
 システム選定の協議においては、それぞれの市町村が慣れ親しんでいるシステムを推すため協議がまとまりにくい。このため、事前に一定の考え方や選定基準を設けておくと調整がしやすい。
 (3) システム仕様の協議
 たとえ同じベンダの同じシステムであっても、個別のカスタマイズが行われている場合が多く、各システムの仕様を調査し、相違点を明確にする必要がある。
 各市町村においては、それぞれのシステムの画面や出力帳票等を洗い出し、それらの統一に関した協議を行う。
 (4) データ形式の変換(各市町村が別々のシステムの場合)
 システムの選定及び統一のシステム仕様が決定されたら、統合するシステムに合わせデータ形式の変換をベンダに委託する。
 特に文字コード(外字)の違い、データレイアウトの違い及びデータ構造の違いにより、所要の経費は大きく異なる。
 (5) キーコード等の再付番・データの併合
 システム内の各データは一意のコードが付番され管理されていることから、データを併合するためにはキーコード等を再付番する必要がある。
 特に住民情報においては、今まで利用していた住民コード、世帯コード、住所コード等が変更されるため注意が必要である。また、合併基準日前の納税通知書等による収納消し込み等の処理が可能となるように、しばらくの期間、合併前のコード等を用いることができるようシステム的な対応が必要である。
 (6) システム仕様変更に伴うシステム改修
 システムの画面や出力帳票の様式の統一等に関しての協議結果に基づき、システムの改修をベンダに委託する。
 (7) ハードウェアの設計
 合併により、各市町村のデータを併合する必要があるが、データ量が増えることから現行ハードウェアでは性能、容量等が不足する可能性がある。
 このため、ハードウェアの増設や更新等の対応方法を明確にする必要がある。
 (8) ハードウェアの調達
 新市用機器による統合システム及びネットワークの充分なテスト、検証・確認が必要となることから、機器等の調達時期は、これらの期間を勘案して決定する必要がある。
 (9) システムの導入及び併合されたデータの移入
 システム仕様変更どおりシステム改修がされているか、データの欠落・重複がないかなどシステム及びデータを高精度に保持することが必須となるため、市町村職員での検証・確認が必要となる。
 (10) 統合システムの運用開始
 システムの運用開始に先立ち、いままで利用していたシステムと異なる場合には、システムの操作研修を充分に行うなどの配慮が必要となる。