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広報誌 ネット&ライン No.99 2003 冬号
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総合行政ネットワーク(LGWAN)について
― 概要と国、県及び市町村の取組 ―
財団法人岐阜県市町村行政情報センター情報企画室

1 概要
 総合行政ネットワーク(以下「LGWAN」(Local Government Wide Area Network)という。)は、地方公共団体間を相互に接続する行政専用のネットワークです。さらに、国のネットワークである霞が関WANとも接続することにより、国の各府省との間の情報交換を図るものです。いわば、すべての地方公共団体を収容可能な行政内の閉じたネットワークで、そのアプリケーション基盤(認証基盤※1、ディレクトリ基盤※2、公証基盤※3及びXML電文交換基盤※4)を利用し、地方公共団体と国の間や地方公共団体間で迅速な文書交換や、情報の共有を実現するものとされています。
 基本サービスとして、電子メール、電子文書交換、情報掲示板及びWBT※5教育が提供されます。また、LGWANでは、アプリケーションサービスプロバイダ(ASP)を活用することとされており、行政専用の安全で確実なネットワークであるLGWANを利用して、地方公共団体間のIT化格差、IT活用格差等をなくし、品質及びサービスレベルの高いアプリケーション、リソース等を地方公共団体間で共同利用することにより、地方公共団体のIT化を促進し、かつ地方公共団体が独自にシステムを構築することより安価なシステムを導入・運用することができることも目的とされています。
 「地域IT推進のための自治省(現総務省)アクション・プラン(12年12月25日自治省)」では、時間や場所に制約されない迅速、かつ高度な行政サービスを提供するため、インターネット等を利用して、申請や届出の手続きができるシステムを構築することとされており、LGWAN基盤を利用することとしています。
 電子申請・届出システムを実現する上で、申請者が発信した電子文書が真に当該申請者によってなされたものなのかなどを確認するため、地方公共団体においても個人の公的認証基盤として、現行の印鑑登録証明と同様の機能をもった電子認証基盤を構築する必要があるとしています。この公的個人認証基盤における電子証明書の交付には、LGWANを利用するとされています。
 さらに、地方公共団体から申請者に対する通知等をインターネット等を通じて行うためには、当該地方公共団体が発信した文書等が真に当該地方公共団体によって発信されたものかどうか、また、送信途上で文書等が改ざんされていないかどうかを確認できるシステムとして組織認証基盤の構築が必要とされています。
 なお、14年11月1日現在のLGWAN接続団体数は、47都道府県187市町村です。

図1 総合行政ネットワーク接続概要
概念 すべての地方公共団体を収容可能な行政内に閉じたネットワーク(技術的には「行政専用の閉じたインターネット」)
目的 (1)国、地方を通じた電子情報の交換、共有
(2)行政アプリケーションサービス基盤
総合行政ネットワーク接続概要
ASP: Application Service Provider
NOC: Network Operation Center

2 利用のメリット
 LGWANは、その利用により次のメリットが示されています。

(1)行政事務の効率化・迅速化
 LGWANには、「行政部門を通ずる情報交換及び情報共有の推進」を行うための地方公共団体間の情報通信基盤としての役割があります。LGWANを通じた地方公共団体間での情報交換及び情報共有に加え、国のネットワークである霞が関WANと相互に接続し、より広範な情報交換及び情報共有を実現することで、行政事務の効率化・迅速化が可能となります。

(2)重複投資の抑制
 LGWANは、個別の業務にとらわれない柔軟で汎用的な情報通信ネットワークを共通仕様の下に構築されることにより、地方公共団体におけるネットワークへの重複投資を抑制し、ネットワークの維持及び運営費用の削減並びに運用負荷の軽減が可能となります。

(3)住民サービスの向上
 LGWANを活用し、住民生活に必要な行政情報の提供、申請・届出の手続きの電子化等、国と地方公共団体を通じた一体化された行政サービスを提供することで、住民サービスの向上が可能となります。

3 セキュリティ対策
 LGWANでは、LGWANを経由して地方公共団体への不正アクセス等の脅威についての対策を実施しています。

(1)ファイアウォールによって侵入の脅威から防御
 全国NOC※6及び都道府県NOCの各種サーバ群をファイアウォールによって侵入の脅威から防御しています。また、都道府県NOCと地方公共団体の接続点についても、ファイアウォールによって侵入の脅威から防御しています。

(2)盗聴防止
 全国NOC及び都道府県NOCとの間の通信経路、都道府県NOCと地方公共団体相互間との通信経路を暗号化し、盗聴防止策を講じています。

(3)侵入検知機能による不正侵入を検知
 全国NOC及び都道府県NOCにおいて、侵入検知機能(IDS:Intrusion Detection System)によるトラフィック監視を行い、不正アクセスの検知を行っています。また、地方公共団体相互間及び都道府県NOC間での直接通信を制御し、地方公共団体相互間の通信については、すべて都道府県NOCを経由してIDSで監視し、都道府県NOC間の通信についても、すべて全国NOCを経由してIDSで監視することで不正アクセスの検知を行っています。

(4)組織認証の実施
 地方公共団体における組織認証を行うことにより、情報を盗み見る「盗聴」、何者かがデータを書き換える「改ざん」、何者かが正当な情報主体に成りすまして情報のやり取りを行う「成りすまし」、情報の交換があった事実を後になって否認する「事後否認」等の防止策を講じています。

図2 LGWANのセキュリティ対策
LGWANのセキュリティ対策
出展:「 総合行政ネットワークの概要(13年11月、総合行政ネットワーク運営協議会、総合行政ネットワーク全国センター)」

4 国の取組
 都道府県及び政令指定都市については、13年度までにLGWANへの接続を終え、13年10月からは電子文書交換等の運用を開始しています。また、14年7月29日には、霞が関WANとの間で電子文書交換の運用を開始しています。
 その他の市町村については、15年度までに接続するよう強く要請しており、16年度からの本格運用を目指しています。
 市町村のLGWANへの接続については、市町村合併の状況を踏まえ「法定協議会が設置され、合併の意思がある市町村については、代表となる1市町村にLGWANサービス提供装置を設置し、他市町村と共有することも可能(「市(区)町村のLGWAN参加のための質疑応答集」14年5月、財団法人地方自治情報センター)」としています。
 また、LGWANサービス提供装置をiDC※7に設置することも可能としています。

5 県の取組
 岐阜県は、「IT革命の急速な進展に的確に対応し、『日本一住みやすいふるさと岐阜県』を実現するための道具として、県民がいつでも、どこでも、安価に生活サービスやビジネスに活用できる高速・大容量通信が可能な光ファイバー網の整備が必要」として14年度中に「岐阜情報スーパーハイウェイ」を構築することとしています。
 この「岐阜情報スーパーハイウェイ」に市町村がLGWAN接続に必要な機器を接続することによりLGWANの利用ができるとしています。また、県内全市町村が15年度中にLGWAN接続を完了するため、14年10月に県内5圏域において開催された圏域別IT実践型説明会において、LGWAN接続のための各市町村の15年度予算確保の要請がされました。各市町村に配布された資料では、LGWAN接続仕様書等に記載されている標準価格が掲載されており、必要経費については、総合行政ネットワーク接続仕様書及び同仕様書(資料編)に沿って各市町村で見積書を取るよう依頼されています。

6 市町村の取組
 13年度から総務省において、LGWAN接続による電子申請・届出についての実証実験が全国8団体(北海道深川市、福島県葛尾村、千葉県浦安市、神奈川県横須賀市、藤沢市、小田原市、岐阜県大垣市及び岡山県岡山市)で行われており、14年3月に「電子自治体推進パイロット事業13年度報告書」がまとめられました。
 14年度には、この8団体に東京都三鷹市が加わり、認証基盤及び決済基盤に関しての実証実験が行われています。

7 今後市町村が取り組まなければならないこと
 LGWANに接続するためには、サービス提供設備(サービス提供装置、ルータ、UPS、監視・制御装置等)、接続に必須な周辺機器、ICカード及びICカードリーダ/ライタの調達並びに仕様に基づいた庁内LANの構築を行う必要があります。

図3 LGWANのサービスを利用するために必要な構成
LGWANのサービスを利用するために必要な構成
出展:「 総合行政ネットワークの概要(13年11月、総合行政ネットワーク運営協議会、総合行政ネットワーク全国センター)」

(1) LGWANに参加するために新規に調達する機器等
ネットワーク接続用ケーブル(図3の1
 地方公共団体内ネットワークとLGWANサービス提供設備を接続するためのケーブルです。
ICカードリーダ/ライタ及びICカード(図3の2
 LGWAN電子文書交換等のLGWANの認証基盤を使用する際に必要となる機器です。
LGWANサービス提供設備(図3の3
 地方公共団体内ネットワークとLGWANを接続するための設備であり、1地方公共団体につき、必ず1台設置しなければなりません。サービス提供装置、ルータ、UPS(無停電電源装置)、監視・制御装置、ラック及び冷却装置により構成されます。
(ア) サービス提供装置
 LGWANアクセス回線との接続、VPN(暗号化・トンネリング)、ファイアウォール、NAT(アドレス変換)、DNS(アドレス解決)、SMTP(メール)、NTP(時刻同期)等を統合的に行う装置で、遠隔監視及び遠隔操作に対応したエージェント機能を備えます。
(イ) ルータ
 ルータは、LGWANと地方公共団体相互間の接続を可能とするルーティングを行い、暗号化機能を有します。
(ウ) UPS(無停電電源装置)
 UPSは、冷却装置以外のLGWANサービス提供設備内機器の電源バックアップを行います。
(エ) 監視・制御装置
 監視・制御装置は、全国NOCに設置されているリモート監視装置への動作状況の通知並びにリモート監視装置からの遠隔操作指示による機能制御及び電源制御(停止のみ)を行い、温度異常、停電等の異常発生時に、単体で自動的に電源制御を行います。
(オ) ラック及び冷却装置
 LGWANサービス提供設備を構成する各装置は、専用の19インチラックに収容し、ラック背面には、ラック内を冷却する専用の冷却装置を搭載します。なお、冷却装置を必要としない地方公共団体は、冷却装置を搭載しないラックをオプションとして選択可能です。(ただし、空調設備が必要となります。)
LGWANアクセス回線(図3の4
 岐阜県の場合は、「岐阜情報スーパーハイウェイ」を都道府県WANとして利用します。

(2) LGWANを利用するために必須となる条件、機器、設備等
LGWANサービス提供設備設置ファシリティ条件
 LGWANにおいて均一性及び均質性のあるセキュリティレベルを保つために、LGWANサービス提供設備の設置において要求される最低限のファシリティ条件です。なお、参加申込に当たっては、すべての条件を満たすファシリティを確保する必要があります。
地方公共団体内ネットワークとLGWANサービス提供設備との接続に係るセキュリティ条件
 LGWANにおいて均一性及び均質性のある最高のセキュリティレベルを保つために、地方公共団体内ネットワークとLGWANサービス提供設備との接続において要求されるセキュリティ条件です。
F/W(ファイアウォール)(図3の5
 地方公共団体内ネットワークとLGWANサービス提供設備の間に設置し、外部からの不正アクセスを防止する機器です。
Mail/DNSサーバ(図3の6
 LGWANサービス提供設備には、Mail/DNSサーバの機能がないため、LGWANの電子メール及び電子文書交換サービスを利用するために必要となるものです。

(3)電源工事及び空調工事(図3の78
 LGWANサービス提供設備を設置するためには、電源工事及び空調工事が必要となります。ただし、空調工事に関しては、冷却装置付LGWANサービス提供設備を設置する場合は不要です。

(4)経常的費用
 地方公共団体は、LGWANの利用に際して、経常的に以下の費用が必要となります。これらの費用は、それぞれの契約を締結した事業者に対して、当該契約に基づき直接支払います。
 
 LGWANアクセス回線使用料(岐阜県の場合は、岐阜情報スーパーハイウェイを使用し、県が負担することとしています。)
 LGWANサービス提供設備に係る費用(保守費)


(5) 属性型ドメイン取得に係る経費
 LG.JPドメイン名の利用に必要な設定費用
 LGWAN参加の際に必要なLG.JPドメイン名登録手数料及びドメイン名維持費(県が負担)

(6)その他の費用
 前述のほかに、地方公共団体内ネットワークの管理体制やLGWAN提供設備の設置場所等の事情により、地方公共団体内ネットワークの設定変更、ファイアウォールの設置・設定変更、Mail/DNSサーバの整備、ファシリティ整備等の費用を必要とする場合があります。

〔注: 詳細は、(財)地方自治情報センターの総合行政ネットワーク接続仕様書(14年5月28日改定)及び同仕様書(資料編(14年9月12日改定))を参照願います。〕

【参考資料】
総合行政ネットワークの概要(13年11月、総合行政ネットワーク運営協議会、総合行政ネットワーク全国センター)
情報基盤整備施策に関する説明会資料「総合行政ネットワーク」(14年6月、岐阜県電子県庁推進室)
圏域別IT実践型説明会資料「総合行政ネットワークについて」(14年10月、岐阜県電子県庁推進室)
地域IT通信No.21(14年11月18日、LASDEC市町村サポート室)

※1: 電子的に文書等をやり取りする場合には、作成する電子文書が改ざんされていないか、成りすましがないか等を確認する手段が必要である。その手段を提供するための機能のこと。
※2: 認証局の認証情報(各種証明書及びその失効情報)を管理し、公開する機能のこと。
※3: 原文のハッシュ値(与えられた原文から固定長の疑似乱数を生成した値のこと)、正確な基準時計からの時刻に対して確認証サーバの秘密鍵によって、デジタル署名を行ったものを原文と合わせて確認証を作成する。例えば、電子文書交換システムでは、文書の送受信や開封等の日時をその確認証で特定し証明するために用いている。
※4: アプリケーション間での電文をXML(eXtensible Markup Language:データをネットワーク経由で送受信するための言語)で行うシステム。
※5: WBT(Web Based Training)インターネットやWWWの技術を利用して教育を行うこと。また、そのような教育を行うためのシステム。学習者は場所を選ばず自分のペースに合わせて学習を進めることができる。
※6: ネットワークを管理する施設。大容量の基幹回線に直接接続されたコンピュータが設置してある。
※7: 顧客のサーバを預かり、インターネット等への接続回線や保守・運用サービスなどを提供する施設。「インターネットデータセンター」とも呼ばれる。